仮想通貨やNFTは、実際に手に取ることができない存在です。
紙幣や硬貨とは違い、仮想通貨はウォレットに入っている残高の数字でしか存在を確認できません。
そしてそのウォレットも同じく仮想の存在なので、手に触れることは不可能です。
NFTは多くがアート作品として取引されていますが、展示されるのは仮想空間のギャラリーです。
実際に足を運んで、近くまで寄って絵の具の匂いを嗅ぎ、質感をじっくり観察することはできません。
近い将来、人間はパソコンやスマホだけを見ながら生活する世界になるのかもしれませんね。
仮想通貨・NFTの他に、建築物や車などの商品も仮想世界に登場し始めました。
今回は、新たにメタバース内で誕生する予定のプロジェクトについて調べてみることにしましょう。
仮想空間で面接!?メタバースで就職が決まるかも
人材を募集する企業と求職者をつなぐ事業を、メタバース内でできないかと考えた会社があります。
株式会社tenshabiは「メタバース就職事業」として、仮想空間での就職フェスを開催しました。
フェスはVRChatというプラットフォームで行われ、Youtube配信やZOOM接続により多くの人が参加できる仕組みになっています。
参加者がアバターを使ってブースを行き来し、採用担当者と直接やり取りをすることも可能です。
現実世界の就職説明会と同じような体験ができたと話す学生も多いました。
この就職フェスでは、企業説明会だけでしたが、今後は就職試験や面接などもメタバース内で行われるようになるのではないでしょうか。
履歴書を手書きで作成して郵送するとか、県外の会社まで行って面接するという時間もお金もかかる就職活動がなくなるかもしれません。
受かるかどうか分からない会社へ行くために、飛行機、電車を乗り継ぐことを考えると、なかなか挑戦できない学生もいると思います。
メタバース内で就職活動ができれば、世界中のどこにいても気軽にチャレンジできますね。
メタバース建築家も登場!仮想世界で不動産を持つ
メタバース内の土地は、すでに売買や投資の対象になっています。
「The Sandbox」はNFTゲームですが、ユーザーがオリジナルのミニゲームを作成したり、キャラクターやアイテムを作り出すことが可能です。
このミニゲームやアイテムはNFTとして販売することもできるため、ゲームをしながらお金を稼ぐことができると話題になっています。
The Sandboxでは、メタバース上にある土地「LAND」も販売の対象です。
現在、一般のユーザーだけでなく投資家や企業もLANDを購入しています。
今後はこのLANDが仮想世界の不動産として、売買や投資の商品になると考えられるでしょう。
さらに、メタバース上にある土地の上に建てる家や会社にも、新たな可能性が広がっています。
これまでは、一般ユーザーが3D制作ツールなどで作った小さな建物や部屋が置かれていました。
作り方さえ分かれば、小学生でも自分の家やゲームセンターを持つことができたのです。
さらにCGやボクセルアートに精通するようなクリエイターが作成すれば、もっと本格的な建築物になるでしょう。
このようなクリエイターは「メタバース建築家」と呼ばれ、新たな職種として誕生し始めています。
LANDを持つ企業がメタバース内にオフィスを構えたり、NFTを展示する美術館を建てたりする時に、メタバース建築家に依頼するということが当たり前になるかもしれませんね。
現実世界の保険が契約できる?全てネットで完結するかも
アート作品やゲーム、不動産のほか、金融サービス商品についてもメタバース内での提供が計画されています。
保険会社の損保ジャパンは、メタバース内のショッピングモールにある店舗で、現実世界の旅行でのケガや病気に備える保険の販売を予定しているそうです。
これまでは旅行代理店に行って飛行機やホテルの予約をし、必要な保険の契約をするのが当たり前でした。
ネットで旅行を予約した場合は、自分で必要な保険を探して契約の手続きをしなければなりません。
特に海外旅行では、保険に加入しないまま渡航すると、とんでもない額の治療費がかかってしまう恐れがあります。
しかし、「保険の契約は面倒だからしなくていいか」と思っている人、「契約しようと思っていたけど忘れていた」という人もいるでしょう。
メタバース内で保険の契約ができれば、思い立った時にすぐに手続きができます。
現在、ネット上でも保険加入はできますが、文字だけで理解しないといけないので分かりづらいという声も上がっています。
メタバース内の保険代理店を訪れた場合は、直接担当者の説明を受けることができます。
メタバース内を行き来する操作にさえ慣れれば、保険の知識がない人や海外旅行初心者でも気軽に相談できるサービスになるのではないでしょうか。
会議や研修もメタバース内で?どこでも参加できる
遠方のオフィスまで足を運んで研修したり、多くの人が1つの部屋に集結して会議したりする必要はなくなるかもしれません。
マイクロソフト創業者のビル・ゲイツは、2~3年以内にほとんどの会議がメタバース内で行われるようになるだろうと発言しています。
私も週に一度、月に一度の会議のために、わざわざ本店まで1時間かけて行って1ページにたった10行程度書かれたような資料を2~3枚もらって帰ってくるということがあります。
その度に、「なんて馬鹿らしい・・・」と思い、ゆっくりコーヒーを飲んでわざと遅い帰社時間にしています(笑)
そういうことが無駄だと、どうして上層部は今まで気が付かなかったんでしょうね。
メタバース内にオフィスや会議室があれば、世界中のどこにいてもミーティングが可能です。
メタバースではアバターを使ったり、自分の映像をオフにして通信したりできます。
時差の関係で夜になってしまう人は、パジャマを着て寝室からでも会議に参加できますね。
食事の時間に当たった人は、ご飯を食べながらでも可能です。
重要事項を決めるのに、「どうしてもお互いの顔を見なければならない」「どうしてもスーツを着ていなければならない」というわけではないですよね。
まあ、上の人の顔色をうかがいながら、機嫌を取りながら会議する古い体質の会社には必要かもしれませんけどね(笑)
メタバース内に学校ができる!学びたい人と教育をつなぐ
会社だけでなく、学びの場もメタバース内で計画されています。
アメリカでは、VR・AR学習促進企業が2022年内に、メタバース内で現実世界の大学を3D化した「デジタルツイン」仮想キャンパスを創設することを発表しました。
最近増えてきたリモート授業と同じような発想ですが、VRヘッドセットを使うことでよりリアルな講義を受けることができます。
例えば、解剖や人体模型を用いた解説など、実際に目で見ないと意味がない授業に活用が期待されているでしょう。
ZOOMなどでもリモート授業は行なわれていますが、テキストや黒板が表示されているだけだったり、講師が一方的に解説したりするだけで生徒が主体ではありませんでした。
VRでは生徒が自由にキャンパス内を歩き回り、教材に近づく、位置を動かして観察するということも可能です。
また、家にいながら先生と会話したり、他の生徒と一緒に授業を受けているような感覚を持ったりすることもできるのではないでしょうか。
一人で勉強しているより、仲間と切磋琢磨しながら学習する方が効果的だというデータもあります。
ネットやリモートのその先の学び方として、メタバースは新たな可能性を見せてくれるでしょう。
私はメタバースの利用価値について、「アイドルのライブが鑑賞できる」くらいにしか思っていませんでした(笑)
しかし、実際はかなり多くの事業に応用されることが計画されています。
これからは「メタバースで何ができるか」ということを思いつく発想力がビジネスにつながりそうですね!
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