Facebook改め「Meta」になったコミュニケーションプラットフォーム企業では、新たなメタバース開発が進んでいるようです。
しかし、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が公開した新プラットフォームの告知画像を見ると、やっぱり難しいのかな?と思ってしまいました。
マーク・ザッカーバーグ氏がFacebookに投稿した画像には、のっぺりとした表情のアバターと、今の小学生なら簡単に作れてしまいそうな3Dの建物、背景が写っていました。
「IT時代を代表する企業が作ったメタバースがこれ・・・?」
と、不安になってしまった人も多かったようです。
今回は、Metaが開発しようとしているメタバースプラットフォームは本当に実現できるのか考えてみることにしましょう。
Metaの技術は平成初期レベル?CEOもダサかったことを認める
時々子ども番組でやっている、カクカクした動きの3Dアニメを見たことはありませんか?
単純な図形の組み合わせによって作られたキャラクターがバリエーションの少ない動きを繰り返し、表情もせいぜい喜怒哀楽プラスα程度です。
マーク・ザッカーバーグ氏が公開した新プラットフォーム「horizon Worlds」内の画像は、この3Dアニメーションを彷彿とさせるものでした。
平成初期には最新鋭だったかもしれませんが、これと同じようなクオリティの画像を「新プラットフォームです!」と言われても・・・。
彼の投稿を見た人からは、
「90年代のゲームみたい」
「見入ってしまうほど酷い」
と落胆と嘲笑の声が聞こえてきました。
プロジェクト発表時に使われたイメージ画像は、Pixer社にも匹敵するようなクオリティだったため、
「裏切られた!」
「騙された!」
と思う人も少なくないでしょう。
この酷評に対してマーク・ザッカーバーグ氏も「ダサかったことを認める」と発言しています。
しかし、これは「horizon Worlds」のリリースを祝うために急きょ用意された画像であると弁明。
3日後にはよりリアルな自身のアバターと、最新に近いクオリティのメタバース風景を投稿しています。
Metaの新しいプラットフォームは、少なくとも小学生が授業で作るようなメタバースではなさそうです。
多額のクリエイター支援策も!ファンドを立ち上げる
MetaがFacebookだった頃に発表したのは「Facebook Horizon」というメタバースプラットフォームでした。
現在は企業名を取り除き、「Horizon Worlds」としてスタートさせる計画です。
一部の顧客に対して先行リリースした「Facebook Horizon β版」では、多くのクリエイターにより新たなスペースが構築されたといいます。
メタバースは提供者だけでなく、ユーザーが自由な発想で新たなものを作り出していくという特徴があります。
スペース内に住居やミニゲームを作り、さらに新たなスペースを作る。
これがメタバースの世界観を成長させ、広げていくことにつながります。
Meta社もメタバースの世界観を広げてくれるクリエイターに対して、支援することを決めました。
まず、スペース内で創作活動をするクリエイターに使ってもらうためのツールを開発します。
さらにクリエイターの活動を支援するために1000万ドルを集め、ファンドを設立しました。
最終的にはクリエイターから「Horizon Worlds」に対応するアプリケーションを開発してもらい、Oculusというアプリストアでの販売を考えているそうです。
どんな機能がある?既存のプラットフォームと違うところは?
Metaが公開している情報によると、「Horizon Worlds」には今までになかった機能もあると言います。
「Voice Mode」という機能では、モードによって友達以外の人から話しかけられてもメッセージが伝わらないようにすることができるそうです。
Voice Mode機能で「Garble voices」を選択すると、見知らぬアバターの発言は意味不明な文字列で表示されます。
不特定多数と交流できるメタバースでは、悪意ある人物によって不快な言葉をかけられることもあるでしょう。
少年少女に対して性的な発言をしたり、違法な仕事をあっせんしようとしたりする大人がいるかもしれません。
しかし、「Garble voice」では友達申請を承諾した人物としか交流できないため、悪意から自分や子ども達を守ることができます。
また、「Garble voice」を設定していることは相手に分かるので、単に無視しているわけでないと理解してもらえます。
見たいもの、交流したい人だけを選べる点も、ユーザーには嬉しいポイントですね。
自分の家も持てる!家具の販売も視野に
マーク・ザッカーバーグ氏は、「Horizon Worlds」内に自分の家を持つことができる仕組みも考えているそうです。
「Horizon Home」では友達を招いたり、友達の家を訪れたりすることができるとか。
限られた空間ではより親密な話ができるので、特に親しい友人や恋人にもぴったりですね。
また、ビジネス面でも使えそうです。
企業の会議、各種団体のセミナーで活用されるようになるでしょう。
アバター同士の会話はもちろん、VR機器を使えば同じ動画を視聴することもできます。
リビングで一緒に映画を観るということが、メタバースでも実現できるのです。
いずれは住居内に置くインテリアも販売され、NFTとして流通されるようになるかもしれません。
そうなれば住居のデザインをするメタバース建築家、住宅を販売するメタバースハウスメーカー、インテリアを制作するメタバースインテリアデザイナー、インテリアを販売するメタバースインテリアショップなどが誕生するでしょう。
ますますパソコン一つで稼げる仕事が増えそうですね。
日本ではまだできない?順次公開予定
面白そうな「Horizon Worlds」ですが、まだ日本のみなさんは使うことができません。
イギリスを皮切りに、ヨーロッパから少しずつ世界へ展開しようと考えているそうですが・・・。
先ほどのダサい画像の投稿を見る限り、マーク・ザッカーバーグ氏はちょっと焦っているかもしれませんね。
「近日中にアップデート」すると発言しているものの、具体的な日程は示されていません。
マーク・ザッカーバーグ氏は「完璧を目指すより、まずは終わらせろ」というスタンスだとか。
誰もが納得する結果を出そうとするのではなく、とりあえず一つの完成形を提示しようという考えです。
挑戦するのは良いことだけど…ユーザーが求めるものは?
Metaが抱える問題として、Facebookユーザーの高齢化があります。
高齢化といっても40~50代くらいの世代だと思いますが・・・。
私もそう若くはないけど、中年の人って新しいものよりも安定を好みますよね。
どんどん新しい世界へ!というよりは、使いやすくて安全な方が良いんです。
IT企業として先へ進みたいマーク・ザッカーバーグ氏と、ユーザーとの間に認識の差ができてしまっているかもしれません。
メタバースが若者のものだけでなく、中年期以降の人にも受け入れられるにはやはり利便性が大切です。
理想を語るには1人で十分、でも仲間や顧客がいるなら周りの人の話も聞くべきですよね。
マーク・ザッカーバーグ氏は先ほど紹介した「Garble voice」モードにしない方が良いでしょう。
メタバースはチャンスの多い分野です。
伸びしろはありますが、どんな技術者でも一つの形を完成させるのは簡単ではないと思います。
手を出すなら、数十年は誰からも理解されないと覚悟しておきましょう。
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