NFTに新技術が登場!「SBT」って?

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NFTは、誰でも自由に売買ができるようになりました。
クリエイターや出品者には審査が必要なNFTプラットフォームもありますが、基本的には売るのも買うのも自由というのが現在のNFT市場です。
NFTの売買によって利益を得ている人は、この自由な取引が投資のメリットになっています。
しかし、NFTクリエイターやプロジェクトの運営者から見ると、心を込めて制作した作品がすぐ売りに出されてしまうのは悲しいことかもしれません。
ただの投機商品ではなく、恒久的なファンの証にするにはどうしたら良いのでしょうか。
今回は、最近NFTプロジェクトで登場し始めた「SBT」という技術についてご紹介します。

「SBT」とは?

とあるNFTプロジェクトの情報を集めていたら、「SBT」というNFTを配っているという話を耳にしました。
これは「SoulBound Token(ソウルバウンドトークン)」の略語です。
日本語にすると、「魂に紐づいたトークン」になりますね。
どういうことかと言うと、デジタルIDとしての役割を持たせたNFTという意味です。
もともとNFTにはブロックチェーン番号が刻まれていますが、SBTはそれとは別にもう一つ固有のID番号を付与したようなものです。
普通のNFTとは違い、SBTは売ることができません。
そのため市場価値が付かず、商品というよりは証明書という扱いになります。

特徴その1:譲渡できない

SBTの特徴として、一度入手したら他の人に譲ったり売ったりできないというものがあります。
一番初めに受け取った人だけが利用できず、通常のNFTのようにマーケットで流通されません。
そのため、市場価値がないNFTと見られています。
ウォレットからの移動もできないため、永久に残るNFTになるでしょう。
SBTを保有しているウォレットのことを「Soul(ソウル)」といいます。

特徴その2:変更・改ざんできない証明書になる

SBTに想定されていた利用目的は、アートNFTではありませんでした。
当初は保有している人の身分などを表す証明書として使われていることを目指して開発されています。
企業に勤める人なら「社員証」、学校に通う人なら「学生証」ですね。
また、保有している資格を示す「認定証明書」やサービス利用者・会員であることを証明する「利用者証」「会員証」などもSBT化する意味があります。
これらの証明書は、他人に譲渡できません。
しかしコピーすれば、誰かに成りすますことが可能になってしまいます。
現実世界では他人の社員証を使って、本来入れないはずの部署に侵入した・・・という事案も起こっているそうです。
デジタルIDとして発行すれば、生体認証に紐づけるなど本人以外には使えないようにすることも可能です。
SBTに刻まれた内容は変更や改ざんもできないため、よりセキュリティ面が強化された証明書になるでしょう。

特徴その3:暗号資産・NFTの資産証明になる

SBTの技術を応用すれば、暗号資産やNFTの資産価値を証明することもできるのではないかと考えられています。
暗号資産は基本的に匿名で売買されるものなので、誰がどれくらい保有しているのか分かりません。
(公開されているのはウォレットのアドレスのみ、使っている個人は特定できない)
暗号資産にはレンディングサービス、つまり借り入れが可能です。
しかし匿名取引の暗号資産で借入する場合、銀行など既存の金融サービスと違って信用判断が難しくなるでしょう。
そのため、借り入れには別の暗号資産を担保として預ける必要があります。
資金が足りないから借り入れをするのに、「別の暗号資産を預けてください」と言われてもね・・・(^_^;)
こんな時、「銀行だったら正社員で働いているだけで無担保になるのに・・・」と思ってしまうかもしれません。
そこでSBTの出番です。
SBTで勤めている会社などの社会的地位が証明できれば、個人を特定せずに信用取引が可能になるでしょう。
ウォレットの履歴もSBTによって分かるので、無担保で暗号資産を借りられるようになるかもしれません。
今はまだ始まっていないサービスですが、今後の導入が期待されています。

web3.0でどう使う?

SBTは、web3.0時代でより注目される技術になるでしょう。
組織への所属証明、会議や授業などの出席証明は、今のところ紙面上・パソコン上のデータベースで管理されていますよね。
改ざんしようと思えば簡単だし、登録するのもいちいち人の手がかかります。
web3.0では、もっと安全でスマートな管理が求められるでしょう。
「誰がどんな組織に所属しているか」
「どんな会議に出席したか」
これらをSBTによって証明することで、厳重な管理、スピーディーな管理が可能になります。
SBTは現実世界の組織・会議に限らず、例えばDAOやコミュニティなどweb3.0のサービスでも大いに活躍するでしょう。
近い将来、メタバースでの会議に出席するとSBTが付与されるなんて時代が来るかもしれません。

自民党がもう始めてた!でもその結果は・・・

日本は暗号資産やNFTについて遅れている・・・と思っていたら、なんと自民党がSBTをすでに発行していました!
一体何のために作ったのかというと、集会に出席した証明書にしたいみたい。
また、この集会に出席した人だけがもらえる記念品としての意味も持たせたいようです。
「岸田トークン」と銘打ったSBTには岸田内閣総理大臣の顔写真が使われ、さらに小泉進次郎代議士や野田聖子大臣バージョンのNFTも発行したとか・・・。
ただ、これは試験的に(冗談で?)発行したものであり、まだ実際に国会議員の手に渡ったわけではありません。
ところが・・・。
なんとこのトークンを発表した会合で、会場のモニターを撮影した人がいたからさあ大変!
ツイッターで投稿された画像には、トークンを入手するためのQRコードが映り込んでいたのです。
自民党SBTは集会に出席した人だけがもらえる特典のはずだったのに、当該ツイートを見た人なら誰でも入手できる状態に・・・。
しかも、それをやらかしたのが自民党の青年局次長だったことで
「自民党はITリテラシーが低い」→「日本政府がweb3.0に乗るのは百年早い」と言われる羽目になりました。
もともと国民に広く周知させるつもりはなかったのかもしれませんが、思わぬ形で流出してしまい国民をがっかりさせただけになりましたね(^_^;)

私たちはもっと上手に使おう

SBTの利用価値は、これから私たちが見つけていけば良い!
すでに一部のDAOやコミュニティでは、SBTの活用が始まっています。
新プロジェクトを立ち上げる際に、コミュニティに入ってくれた人に向けてSBTを発行するのがアツイみたいですね。
例えばコミュニティ立ち上げから数か月間の限定エアドロップで、初期メンバーだけがSBTを持っているという状態を作れば・・・。
それだけで「古参のメンバー」という証明書になります。
SBTにコミュニティでの発言歴や行動実績、貢献度などを付与できれば・・・。
コミュニティでの立場によって、特典を分けることも可能になるでしょう。
この考え方はすでに形になっているようで、持っているSBTに応じた特典を配布することを「ソウルドロップ」と呼んでいるとか。
SBTはもらっても売れないから資産価値がない・・・と考えるのは時期尚早かも。
むしろ売れないからこそ、永久に残る資産になります。
アイディア次第でいくらでも活用の幅が広がりそうですね。

 

SBTは、LLACなどいくつかの有名コレクションでスタートしています。
二次流通はできないけど、これを持っているだけで特典がもらえるかも!
売買が自由なNFTとは違う、新たな取り組みとして注目するべきNFTです。

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