新潟県で、5月13日に「G7(先進7か国)財務相・中央銀行総裁会議」が開催されました。
金融・経済関係のあれこれを話し合った会議で、暗号資産についても言及されたようです。
今後の暗号資産投資はどうなっていくのでしょうか。
web3.0時代が加速するか、それとも衰退するかも暗号資産によって決まっていると思います。
今回は、G7の会議で暗号資産についてどんなことが話し合われたのか調べてみました。
G7ってなに?
G7とは、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、日本の世界各国を代表する先進7か国のことです。
この7か国から、それぞれの国の財務大臣、中央銀行の総裁が集まって世界の金融・経済の情勢について話し合う会議が通称「G7財務相会議」と呼ばれています。
各国の意見を交換したり、世界の現状について事実確認をしたりして、「今世界の金融・経済ってこんな感じになっているよね」と先進国それぞれの見解をある程度まとめるような会議です。
このなかで、金融政策について情報交換をすることもあれば、金融規制や当局の監督方針のアイディアを出し合うこともあります。
例えばこの場で「暗号資産の取引を当局で規制して、認可を受けた投資家しか取引できないようにしよう」という案が出たとしましょう。
この意見に対し、各国のリーダーたちが「それは良いね」ということになったら、世界的に暗号資産取引の規制が始まるかもしれません。
この会議で話し合われたことがすぐにルールとして決定されるわけではありませんが、私たち投資家も注目しておく必要があります。
話し合ったことはどうなるの?
会議で話し合われたことは、一部が「共同声明」に明記される場合もあります。
これは各国で一致した意見を、「会議メンバーみんなの意見」として公開するものです。
ただし共同声明に明記した意見が、必ずそれぞれの国で法律化・規制化されるのかと言えばそうではありません。
たとえ「そういうルールを作っていきましょうね」という話になったとしても、成立しなかったり数十年かけて成立させたりすることもあります。
そもそも、「こういうルールでいきましょう!」というはっきりとした声明にならず、「必要性を確認した」とか「今後が懸念されるという意見で一致した」とか曖昧な表現になることも多いです。
暗号資産で規制が始まる!?各国が共同声明を作成中
2023年5月13日のG7財務相会議で、暗号資産取引についての言及がありました。
その時に「各国が暗号資産について効果的な規制や監督方針の枠組みを作るべき」という意見が出て、これが今回の会議の共同声明として明記されることが分かっています。
今は国によって暗号資産の規制がまちまちで、日本でもはっきり決まっていないルールがいくつか残っているでしょう。
このままだと、「イギリスは規制が厳しいから、アメリカで投資詐欺をしよう」と考える悪人がいるかもしれません。
各国が暗号資産取引の規制について足並みをそろえれば、どの国で投資やビジネスをしても安心・安全に取引できるようになります。
G7で共同声明を出すことにより、暗号資産についての規制をあまり考えてこなかった国に対しても「みんなでルールを決めませんか?」と提言するきっかけになると思います。
「暗号資産取引は危険だからやらない方が良い」という時代から、「暗号資産なら世界中どこでも安全に取引できるよ」という流れに変わると良いですね。
なぜ今規制が必要なの?
暗号資産投資を始めている人にとって、規制の必要性が叫ばれるのは歓迎できないという意見もあります。
とにかく暗号資産業界を盛り上げて、取引が活発になった方が良い・・・というのも納得です。
それには規制よりも、自由な取引や非中央集権的な取引を推進するべきだと考える人がいてもおかしくはないと思います。
なぜ暗号資産業界が冷えているこのタイミングで、さらに規制するべきだと言われてしまったのでしょうか。
それは暗号資産交換業の大手、「FTXトレーディング」社が経営破綻したことがきっかけになりました。
アメリカの裁判所に破産申請をしたため、顧客の資産が引き出せなくなってしまったのです。
創業者までもが詐欺で逮捕され、「あーあ、やっぱり暗号資産って危ないじゃん」と言われる原因を作ってしまいます。
しかし日本では暗号資産取引についての規制が導入されていたため、それほど被害が拡大しなかったとか。
今回のG7議長国である日本は、この経験を声高々に披露したのではないでしょうか。
「ほらね、だから規制って必要でしょ?」という話から、じゃあ各国でも規制を始めなきゃってことになったのだと想像できます。
ちなみに欧州各国では賛同する声が多い一方、アメリカはあまり良い顔をしていなかったそう・・・。。
「規制が暗号資産の技術革新を邪魔するのでは」と、共同声明の表現についても慎重さを求めたようです。
日本の規制は何が良かったの?
FTXトレーディングの経営破綻によって、世界各国の顧客は資金が凍結されてしまいました。
しかし、日本の子会社「FTXジャパン」では顧客の資産を保全しており、返金も可能に。
これはもちろん日本が行っていた暗号資産取引の規制が功を奏した結果ですが、具体的にどんな規制があったのでしょうか。
日本の規制とは、金融庁により設けられているルールです。
暗号資産交換業者には登録制が設けられ、「国内取引所」に分類される交換業者は金融庁の認可を受ける必要があります。
また、交換業者自身の資産と顧客の財産を分けて管理すること、暗号資産をネットにつながない「コールドウォレット」で顧客財産を管理することを義務としました。
これにより、万が一会社が破綻しても顧客の財産は守られ、準備ができ次第顧客のもとに返金できるのです。
実際にFTXジャパンが預かっていた顧客の財産は法定通貨として十分な金額が保有されており、支払い能力には問題がないとみられています。
もしこの規制がなかったら、日本の顧客も財産が引き出せなくなっていたでしょう。
そればかりか、一生懸命貯めていた暗号資産が泡となって消えていたかもしれません。
技術革新も大切ですが、安全性についても考えるべきだと各国に示す貴重な経験となりました。
今秋にはG20財務相会議も!
実はG7のほかに、「G20財務相会議」も開かれています。
G20とはG7に、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、オーストラリア、ロシア、中国、韓国、インドネシア、インド、サウジアラビア、トルコ、南アフリカ、EU連合・EU中央銀行の13か国を加えたものです。
G7の先進国に、新興国やIMF(国際通貨基金)や世界銀行が加わり、さらに多くの国と意見交換する目的で作られました。
今年の9月に予定されているG20財務相会議では、今回のG7で出された共同声明についてG20でも各国合意を目指しています。
しかし、G20の議長国となるインドでは、そもそも「暗号資産なんてダメ!」というスタンスらしく・・・。
「規制したら技術革新が止まってしまうでしょ!」というアメリカと真逆の意見です。
もっと自由に取引してほしいアメリカ、危険なら禁止してしまえば良いと思っているインドの間で、日本はどんな態度を見せるのでしょうか。
「まあまあ、間を取ってそれなりの規制を設けましょ」という日本特有の曖昧さは、真っ向から対立するアメリカとインドを納得させることができるのか・・・。
今秋のG20会議では、かなり踏み込んだ議論になるのではと予想されています。
暗号資産についての規制の枠組みは、世界的に見てもまだまだ決まりそうもない・・・。
とりあえず今は自己責任の世界なので、私たちは慎重な行動をするしかありませんね(^_^;)
コメント