暗号資産を発行するプロジェクトのなかには、多くの投資家からお金を集めておきながらある日突然消えてなくなってしまうものもあるようです。
暗号資産はじめweb3.0業界では、基本的に自由で匿名性の高いビジネスや取引が行われています。
そのため、どこの誰が開発したのか分からない技術、どんな人達で構成されているかも分からないプロジェクトが存在しています。
実態が不明なプロジェクトに投資するのは危険が伴うので、慎重な判断が必要です。
今回は暗号資産プロジェクトで多発している「rug-pull(ラグプル)」という詐欺について勉強していきましょう。
暗号資産の「rug-pull」ってなに?
rug-pullとは、暗号資産プロジェクトに集まった資金を発行者・開発者が持ち逃げすることです。
暗号資産(トークン)はプロジェクトの活動資金に投資してもらうための株券のようなものだとイメージしてみましょう。
投資家はトークンを買い、対価として法定通貨や別の暗号資産を支払います。
多くの投資家からお金が集まれば、プロジェクトの活動資金が潤うでしょう。
そしてその資金を使って、事業計画に沿った活動が行われていれば何ら問題はありません。
しかし、投資家から資金を集めるだけ集め、プロジェクトの活動をせずに集まったお金を全て引き出し逃げてしまう詐欺集団もいます。
rug-pullされてしまうとそのトークンの価値は0になり、投資したお金が戻ってくることもないでしょう。
もちろんプロジェクトも放棄されているので、トークンは幻となって消滅したも同然です。
売ってしまおうと思っても価格が付かないので、投資した分を取り戻すこともできません。
残ったのは無価値のトークンだけで、これが目に見える株券であれば紙切れと一緒ですね。
rug-pullには3つのタイプがある
最近発生しているrug-pullは、主に「流動性スティール」「売り注文制限」「ダンピング」の3タイプに分類されます。
それぞれどんな特徴があるか見てみましょう。
・流動性スティール
トークンを発行した者が、流動性プールから全ての暗号資産を引き出すことです。
DeFiサービスでは、投資家が流動性プールに資金を預けて報酬を得る「イールドファーミング」が利用できます。
本来はこのプールに預けることで他の人が暗号資産を買えるようになり、投資家は流動性の提供に対しての報酬が与えられる仕組みです。
しかし、流動性プールからトークンが全て引き出されてしまえば、預け入れの報酬どころかトークン自体の価値がなくなってしまいます。
利益を手にするのはトークンを引き出した発行者のみで、DeFiサービスを利用した投資家には何も残りません。
・売り注文制限
トークンを開発する際、発行者だけが売却できるようなコードを設定する方法です。
投資家がペア通貨を使ってそのトークンを購入すると、発行者はプラスの値動きを作ります。
そしてトークンの価値が上がったところでポジションを捨て、全て売り切ってしまいます。
売ることができるのは発行者のみになっているため、投資家は価値のないトークンを持ち続けなければならないのです。
・ダンピング
トークン発行者がトークンを大量に売り払ってしまう方法です。
トークンの価格は下がり、投資家はほとんど無価値なトークンを持っていることになります。
SNSで大々的に営業し、多くの資金が集まったところで発行者が大量売却して売上金だけを持ち逃げするような事例が多発しています。
通常は発行者自らトークンを売りさばいてしまうということは考えられないため、最初から資金だけが目当てだったと考えられるでしょう。
技術面では2種類のrug-pullがある
詐欺の方法としては3つのタイプに分類されますが、技術的な面から見れば「ハード」と「ソフト」に分けることもできます。
・ハードrug-pull
売り注文制限のように、トークンの開発時に悪意のあるシステムを仕込むことです。
流動性スティールもDeFiの仕組みを利用した方法なのでハードに分類されます。
・ソフトrug-pull
発行者がトークンを売り切ってしまうことです。
ダンピングのように、投資家が保有しているトークンの価値を下げる行為にあたります。
ただし、ハードと違って技術的にNGなことをしているわけではないため、犯罪かどうかを考えるとグレーゾーンになるでしょう。
ハードrug-pullは違法だけどソフトrug-pullは微妙なところ
暗号資産は、誰もが取引できることが基本です。
あらかじめ発行者だけが売却できるとプログラミングするのは違法であり、犯罪行為にあたります。
しかし、暗号資産を発行して多額の資金が集まってから「やっぱり売ってしまおうかな」と言い出した発行者を違法な行為として裁くことはできません。
非論理的ではありますが、発行者が売ってはいけないというルールがないからです。
また、ハードもソフトも悪意がある・詐欺行為であると立証するのはかなり難しいでしょう。
現実的には泣き寝入りになることが多く、今のところは騙される前に気を付けるしかありません。
rug-pullを未然に防ぐには?
rug-pullは、資金を持ち逃げされてからできることはほとんどないと思った方が良いでしょう。
そもそも怪しいプロジェクトには投資しない、これに尽きると思います。
次のようなプロジェクトがあったら、トークンを購入するのはちょっと待って!
・トークンの開発者が匿名
暗号資産は匿名でも発行できます。
しかし、信頼できるプロジェクトであれば、トークンの開発者がどんな分野で活躍してきたのか、発行団体がどんな事業を行ってきたのか公開しているはずです。
これらの情報はむしろ大々的に宣伝するべきことですからね。
あえて隠しているのは、トークンの開発者が信頼できる人物ではないと言っているようなものです。
たとえ開発者の名前があっても、全く知られていないような人物であれば疑った方が良いでしょう。
SNSや暗号資産コミュニティで情報収集して、その道のプロであるか確認してみてください。
・流動性ロックがかかっていない
信頼できる暗号資産であれば、「流動性ロック」がかかっているはずです。
流動性プールは通常、トークンが初めて提供されてから3~5年間は継続するようタイムロックされています。
また、流動性プールに一定量が確保されていることも重要で、「トータルバリューロック(TVL)」が80~100%になっていれば安心です。
時間も量も設定されていないプールは、開発者に持ち逃げされるリスクがあると心得ましょう。
その他にも詐欺コインを見破る方法はありますが、一般人にはかなり難しいものばかりです。
上記の注意点を確認し、急に売り注文が多くなったり、価格が急に下がったりしていないかを適宜チェックしながら投資するかどうか決めましょう。
LOLLIPOP(ロリポップ)は監査済み!
最近は、新しい暗号資産プロジェクトを立ち上げるなら、外部の監査機関からコードの正当性やセキュリティ面の安全性についてチェックしてもらうのが慣行となっています。
外部監査を受けていないプロジェクトには、投資しない方が良いでしょう。
LOLLIPOP(ロリポップ)は、大手監査機関である「Ceritik」からブロックチェーンのセキュリティ監査を受けています。
プロジェクトから発行されているトークン「LPOP」について、使用するネットワークチェーン「バイナンススマートチェーン(BSC)」についても問題がないと判断されました。
新しいプロジェクトは続々と立ち上がっていますが、LOLLIPOP(ロリポップ)とLPOPに関しては心配する必要はありません。
DEXも使いやすい仕様になっているため、初心者も安心して始められるでしょう。
rug-pullは暗号資産だけでなく、NFTプロジェクトでもたびたび見られる詐欺行為です。
詐欺とまではいかなくても、開発者やファンダーの手によって価格が操作されたり、限られた人しかNFTが売買できなかったりする事案も起きています。
どのプロジェクトに投資するか、rug-pullのリスクについても考えておいてくださいね。
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