銀行は本当に要らない?DeFiの拡大と既存の金融機関システムについて

銀行 DeFi

DeFiの技術を使えば、もはや銀行なんて必要ない!
そんなことが言われるようになって、6年あまりが過ぎました。
私には銀行に勤めている友人がいますが、彼ら銀行員がどう思っているかというと…
やっぱりちょっと悲しいみたいです(^_^;)
まるでオワコンのように言われてしまって、「じゃあ私たちが毎日やっている銀行業務って時代錯誤なの?」と納得いかないそう。
「もしそれが本当なら、どうしてこんなに毎日毎日忙しいのよ!」とも怒っていました(笑)
確かに、DeFiサービスが便利で効率的だと分かっても、ネットバンクを含め銀行にお金を預ける人が激減したわけではないですよね。
銀行という金融のあり方はこれからの時代、本当に不必要なのでしょうか。
今回は、そんなことを考えてみました。

銀行って何をしているの?金融機関=銀行ではない

そもそも、銀行にはどんな役割があるのでしょうか。
利用者からお金を預かる「預金業務」、個人や企業にお金を貸し出す「貸付業務」、お金の受け渡しを仲介する「為替業務」の3つが、「銀行の3大業務」と呼ばれています。
それでは金融機関とはなんでしょうか。
銀行をはじめ、証券会社、信用金庫、信用組合、労働金庫、農林中央金庫、農業協同組合など、お金を預かったり貸し出したりする窓口があれば「金融機関」に分類されます。
お金に関連する業務に限って言えば、上記の組織はいずれも同じく金融機関としての役割を持っているのです。
銀行はお金にまつわる業務が主となりますが、例えば農協であれば農家への支援や指導、生産者や消費者で構成される組合員のための共同活動のほかに、金融機関としての業務もしているという形になります。
ただし、厳密に言うと銀行にはできるけど農協にはできないこともあります。
銀行以外の金融機関は営業地域が限定されていたり、預貯金受け入れなどに一部制限が設けられていたりする場合もあるでしょう。
そのため、金融機関の話をする時は一般的に「銀行」と言うわけですね。

DeFiとは?銀行とどう違うの?

例えば、AさんからBさんへお金を振り込む場面をイメージしてみてください。
窓口を使おうがATMを使おうが、Aさんから銀行へお金が渡され、銀行からBさんへお金が渡されることになります。
つまり、お金の授受を行う2人の間に銀行という第三者が入るというわけですね。
銀行は取引の仲介を行う者として、例えば振り込みの際は振込手数料を受け取ります。
そしてAさんからお金を受け取ってBさんへ渡したという取引履歴は、銀行が保有するデータとして記録されます。
これが既存の銀行(金融機関)の仕組みです。
利用者の取引データは銀行のデータベースに集約されるため、既存の金融機関におけるシステムは「中央集権型金融」とも呼ばれています。
これに対し、利用者同士で直接取引を行う仕組みが「DeFi」です。
もしAさんからBさんへの金銭の受け渡しをDeFiによって行うなら、2人の間に第三者が入ることはありません。
2人だけの直接取引となり、その取引データはブロックチェーンによって管理されます。
このブロックチェーンは利用者みんなで分散して保有・管理するため、「分散型金融」と呼ばれています。
つまり、「銀行=中央集権型金融」、「DeFi=分散型金融」と分けることができるのです。
ちなみに、銀行に支払ったような振込手数料はDeFiの場合ではどうなるかというと、ブロックチェーンを利用するためのガス代(手数料)として支払う必要があります。
しかしこれを受け取るのは特定の人物や機関ではなく、ブロックチェーンの運用にかかる経費として結果的に利用者みんなで使うことになります。
またはその取引所(DeFiは分散型取引所を利用する)の運営資金として積み立てられ、一部は報酬として利用者に戻ってくることもあるでしょう。

じゃあ中央集権型の暗号資産取引所ってなに?(^_^;)

基本的に、これまで既存の銀行とDeFiは相反するシステムとして考えられてきました。
中央集権型か分散型かという区別は、ブロックチェーンを利用しているかどうかによって分けることも可能です。
つまり、ブロックチェーンを利用していなければ中央集権型の金融=銀行と言えるし、ブロックチェーンを利用していれば分散型の金融として成り立つのでDeFiであると言えるでしょう。
しかし実際は、ブロックチェーンによって構築されている暗号資産の取引を扱っていながら、既存の銀行のような立場で利用者の資金や金銭の授受を管理している「中央集権型取引所(CEX)」も存在しています。
銀行でもなければDeFiでもない、CEXって何なの…?
さまざまな認識がありますが、私は既存の銀行とほぼ同じ存在だと思っています。
取り扱っているのが暗号資産であるというだけで、行っている業務としては利用者の間にある第三者機関、つまり銀行と同じです。
入出金手数料や取引手数料を徴収しているCEXもあり、銀行に支払う振込手数料と一緒ですよね。
ブロックチェーンを利用した暗号資産を取り扱っていても、利用者の口座情報や残高を管理している時点でDeFiではありません。

銀行もブロックチェーンを利用したがっていた?

海外の一部の金融機関では、既存の銀行システムから脱却してDeFiのようなことをしたいと考えているところも出始めているようです。
通貨や債券をトークン化し、取引コストを引き下げようとする銀行もあるとか。
これだけ「銀行や現金の時代は終わる!これからはDeFiで暗号資産だ!」と叫ばれると、何もしないわけにはいかないと思ったのかな?
しかし、銀行間のネットワークシステムが異なるため、なかなかうまくはいかないみたいです。
通貨も債権もトークン化すること自体は簡単かもしれませんが、それをブロックチェーンによって取引するとなると銀行独自のネットワークが障害になる可能性があります。
まずは銀行間でプラットフォームが統一され、共通ネットワークで管理できるようにならないと銀行のDeFi化は難しそうです。

銀行がなくなると、それはそれで困るかも

もし世界中の銀行がDeFiに取って代わられ、銀行窓口もATMも使う必要がなくなったら…?
電子マネーでピッとできる、暗号資産で支払いできる世界になって、現金を引き出す意味がなくなったら…?
すべての人が自分で資産を管理して、第三者を介することなくどんな取引も可能になったら…?
今、多くのブロックチェーン信者が目指しているweb3.0・4.0はそんな感じです。
しかし、私は銀行もある程度残しておくべきだと考えます。
その理由は、自分で資産管理ってとても難しいと思うから(^_^;)
これまで私たちは、家で多額のお金を持っているのが心配だから銀行に預けていたわけですよね。
泥棒に盗られたり、失くしたりしないために、代わりに銀行に管理してもらっていたのです。
DeFiが便利だからといって、これからは自分でしっかり管理できます!って胸を張って言えますか?
私は銀行がなかったら、不安でたまりませんね。
全財産をメタマスクで管理するなんて、それをスマホに入れて持ち歩くなんて、怖すぎます…(;´・ω・)
もし暗号資産で一発当てたとしても、半分くらいは日本円に換えて銀行に預けるかも(笑)
本当に暗号資産が当たり前の世界になるまでは、確実な方法で保管しておきたいと思います。

 

お年寄りや子どもも、暗号資産の形で自分で管理してねと言われたって急には無理ですよね。
DeFiを上手に利用しつつ、銀行も引き続き頼りにしたい。
それが結局は、今考えられる一番賢い選択なんじゃないかと思っています。

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