最近の生成AIは、ホントにすごいと思います。
人間が書いたような自然な表現でテキストが作成できるようになって、絵心がない人でも芸術的なイラストが描けるようになりました。
これまでのAI技術では人間がコンピュータに情報を与え、限られた材料のなかで必要なものをコピーしていました。
しかし最先端のAIには、すでに人間と同じ、無から有を生み出す創造力が備わっています。
今回は、生成AIとは何か、どんな仕組みで動いているのか調べていきましょう。
生成AIってなに?
生成AIとは、大量のデータからパターンを学習して全く新しいものを生み出すことができる技術です。
Generative(ジェネラティブ) AIとも呼ばれ、テキストを生成する「ChatGPT」、画像を生成する「DALL-E 」などがさまざまな場面で活用され始めています。
ビジネスやDXの現場だけでなく、SNSや個人的なメッセージのやり取りなど日常生活にも浸透するようになった最新技術です。
例えば私のようなブロガーが記事作成を生成AIにお願いすれば、のんびりテレビを観ている間にも大量の記事ができあがっているというわけですね。
ちなみにこの文章は…
生身の人間が数十分かけて頑張って書いていますよ!(‘ω’)ノ(笑)
生成AIを使えば、ものの数秒で完成させてしまうかもしれませんけどね。
生成AIってどうやって創造しているの?
生成AIがテキストや画像を生み出している仕組みには、主に「ディープラーニング」という分析手法が使われています。
これは日本語では「深層学習」とも呼ばれ、与えられたデータをもとにAI自身が回答を探し出すというものです。
従来のAI技術では、「YesだったらAに進む、NoだったらBに進む」という正解を与えられたうえで判断をしていました。
簡単に言えば、「これと同じ状況ではAが正しいとされてきたから、今回もAでいこう」と、AIが記憶していた内容に沿って予測するというわけですね。
生成AIの場合は、インプットされたデータを材料にして、何を選択するかAI自身が決めるという仕組みになっています。
人間が与えたデータをもとにして判断するのは同じですが、場合によっては人間とは違う見解を示したり、人間には考えもしないようなアイディアを見つけたりする可能性もあります。
また、人間がデータを与え続けなくても、自ら学習してどんどん知識を深めていくことが可能です。
この自主学習が、全く新しいコンテンツを生み出せる秘密と言えるでしょう。
従来のAIと生成AIで導き出される答えが違う?
学習データをもとに適切な答えを導き出すのは、従来のAI技術でも生成AIでも同じことです。
しかし、出力される答えは違うことがあります。
例えば、「リンゴを表示して」と指示した場合、従来のAIはインプットされている情報の中からリンゴの画像を検出し、インターネットや書籍などに掲載されたことのある既存のコンテンツを表示するでしょう。
これに対して生成AIは、記憶しているデータをさらに深掘りして学習、新たな答えとしてリンゴの画像を作成します。
生成AIが抽出したリンゴの画像は、どこを探しても同じデータが見つからないでしょう。
そのリンゴは、その時までに生成AIが学習した内容で作り出した、この世界にたった一つの全く新しいコンテンツとして誕生するのです。
生成AIはこの世にないものも作り出せる
従来のAIの場合、この世界に存在するデータだけが判断材料です。
一方、生成AIはまだこの世に存在していない、全く新しいデータを作り出すことができます。
例えば、「羽が生えた無数のリンゴが空を飛んでいる画像」を表示せよと指示した場合、どうなるでしょうか。
この世界のどこにもそんな現象が起きたことはなく、AIにインプットされるデータにもそのような情報はありません。
だから、従来のAIでは羽の生えたリンゴが空を飛ぶ画像を表示できないと考えられます。
(絵本やマンガなどで描かれたことがあればイラストが表示される可能性はありますが)
しかし、生成AIの場合は空飛ぶリンゴの画像も作り出すことができるのです。
リンゴや空を飛ぶ動物、翼、ファンタジーの世界を描いた創作物などをもとに、生成AI自ら「こんな状況だったらリンゴも空を飛ぶんじゃない?」という架空の現象を導き出せるというわけですね。
両者の違いを簡単に表現するなら、従来のAIは正解を出すことができ、生成AIは正解のない答えを出すことができると言えるでしょう。
算数の問題には正解があるけど、国語の「登場人物の気持ちを答えよ」などという問いには正解がない場合もあります。
従来のAIは算数は得意だけど、国語は苦手だったかもしれません。
生成AIは算数や国語はもちろん図画工作まで得意、さらに勉強熱心であるという優秀な生徒ですね。
あとは道徳さえ備わっていれば、安心して任せられるんだけど…
生成AIの課題は?
生成AIは人間の生活を豊かにし、新たなアイディアをもたらす便利で画期的なツールです。
しかし、現状は危険性や課題もあるといわれています。
誤った情報が表示される可能性
生成AIに限らず、従来のAIも完璧ではありませんでした。
出力されたものはAIにインプットされた情報が材料になっているため、もとになったデータによっては整合性を欠くこともあります。
例えばChatGPT無料版は2021年9月までにインプットされた情報を学習して答えを出力しているため、それ以降の変更やリアルタイムな情報は反映されていないと考えられるでしょう。
よく読めば「それ間違っているよ」と気付けるような内容でも、チェックせずに公開してしまうことで信頼性に関わる大きなトラブルに発展する可能性があります。
著作権を侵害する可能性
画像生成AIに有名画家の作品を学習させ、作風が酷似したイラストを生成してしまう事例も増えています。
知らないうちに自分の作品にそっくりのイラストが売られていたり、自分の信条に反するような作品が拡散され風評被害を受けたりすることもあるでしょう。
「この人が言いそうなこと」という指示で動画や音声を作成し、影響力のある人物に成りすました詐欺なども横行しています。
情報漏洩が起こる可能性
テキストを生成するには、まずChatGPTに必要な情報を入力します。
例えば「この社員に案内文章を作成して」と指示する時、氏名や年齢、性別、職級、年収、家族構成などの個人情報を入力することも考えられるでしょう。
しかし、セキュリティが甘いと他のユーザーがChatGPTを使用する際に入力した情報が表示されてしまう可能性があります。
会議用資料を作成するために入力した内容が社外に漏れることも懸念されており、ChatGPTの業務使用を禁止している企業もあるとか。
現状はユーザーごとに情報を厳守できるという確証もないので、入力する内容には細心の注意が必要です。
人間が要らなくなる未来
生成AIによって、人間の業務が大幅に効率化されるといいます。
人手が足りない部門では助かるかもしれませんが、働く人にとってはAIに仕事を奪われる懸念があります。
ある企業ではChatGPTに大量のログデータを学習させ、AI経営者としてビジネス戦略を立てさせているそうです。
役員が不要になったり、現場の社員がリストラされたり、人間が一人もいない職場が生まれる可能性もあるでしょう。
「人にできて生成AIにできないことはない」とも言われるようになり、人間としての価値を見失ってしまいそうで怖いですね(◎_◎;)
生成AIは、多くの人に歓迎されている技術です。
しかし人間の方も進化しなければ、いずれAIが人間に命令する時代が来てしまうような気がしてなりません。
コメント