コミュニティが企業の成功を左右する!?ドン・キホーテがメタバース空間を構築

ドン・キホーテ メタバース

ファンを増やすことが強力なマーケティングになるという、新たな常識が生まれているような気がします。
商品開発を行う企業は受け身ではいられなくなり、むしろ消費者に「好きになってもらう努力」をしなければ競争に勝てないでしょう。
企業や商品のファンを獲得するということは、まだ見ぬ新規顧客の開拓にもつながります。
今回は、メタバースを使ってファンマーケティングを行っているというドン・キホーテの取り組みについて調べてみました。

ドン・キホーテから「METAドンキ」がリリース

ディスカウントストアのドン・キホーテは、ファンと企業が同じ時間・体験を共有できるメタバース空間「METAドンキ」を設立しました。
これはブラウザ版メタバースプラットフォーム「DOOR」内に開設したスペースで、期間限定のイベントなども展開される予定です。
3月15日から3日間限定で行われた公開記念イベントでは、ドン・キホーテの激安商品が入った「福箱」をオークション形式で販売しています。
その模様はMETAドンキ内でライブ配信され、SNSでも話題に!
途中アクセス障害が起こるトラブルにも見舞われましたが、SNSでは「ドンキ頑張れ」などと温かい言葉も飛び交います。
メタバースとして完璧な姿を見せたわけではなかったものの、ファンのなかには「ますますドンキ愛が増した」という人もいたようです。
訪れたファンはアバターの姿になって自由に歩き回り、キャラクターと写真撮影をする場面も。
実はドン・キホーテの運営スタッフが店舗キャラクタードンペンくん・ドンコちゃんのアバターに”着替えた”とのことで、現実世界のイベントのように企業と顧客の距離が近づく体験も提供できたと言えるでしょう。

メタバースでしかできないことを実現

METAドンキを企画するにあたり、ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスのマーケティング戦略本部長の太田越太氏は「ECサイトの延長線上のようなことはやりたくない」と考えていたそうです。
ライブ配信で商品を売るだけなら、メタバースを利用する意味はありません。
ドン・キホーテらしさを出しつつ、訪れた人が互いにコミュニケーションを取れる参加型のイベントを目指しました。
企画されたクイズ大会では回答によって進む部屋を分け、正しい回答の部屋にオリジナルキャラクターが入室して正解を知らせるという面白い仕掛けを構築しました。
ただのクイズ企画であればSNS上で完結してしまいますが、参加者がメタバース空間に足を運び、会場内を移動することで新たな体験が得られたのです。

すべての会話をリアルタイムに取得

METAドンキでは、運営側が参加者の声を入手することができたといいます。
オークション販売やクイズ大会に参加した人はもちろん、ただメタバース内をウロウロしていただけの人の声もリアルタイムに記録していました。
参加者同士のコミュニケーションからも、ドン・キホーテに関する意見や感想を得られたとか。
どのイベントで盛り上がっているか、この企画はウケが悪かったとか、バッグヤードで即座に確認できるのもメタバースならではのメリットです。
参加者側からすると盗み聞きされたような感じも否めませんが、さらに面白いイベントを企画するための材料として利用されるなら良しとしますか(^_^;)
SNSではオークションやクイズでゲットした商品について、「家に届いたよ!」と投稿した参加者もいたみたいです。
それが拡散され、イベント終了後もしばらくは盛り上がりが続いたそう。

ファンが作るバーチャル店舗が実店舗の参考になるかも

ドン・キホーテは、今後もさまざまなイベントでファンとコミュニケーションを取りたいと考えているそうです。
METAドンキの成功を参考に、ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは「イベントを開催していない期間も24時間365日顧客を楽しませる場所を作りたい」といいます。
例えばアイディアのひとつとして、消費者側のユーザーが作るドン・キホーテのバーチャル店舗も考案しているようです。
運営の太田代表は「こんなお店が欲しいな」という消費者目線を取得し、リアル店舗に活かすことができればと語っています。
メタバース空間は「デジタルツイン」として活用される事例もありますが、太田代表の考えるバーチャル店舗は現実世界で企画される事業のシミュレーションにも利用できるでしょう。

コミュニティが企業を救う!?SNSを超えたマーケティング戦略

ドン・キホーテに限らず、さまざまなブランドや店舗がコミュニティづくりに着手しています。
これまではSNSに公式アカウントを開設し、一方的に情報を発信し、「何かあればコメントしてね!」というスタンスでした。
大きな企業にコメントを投稿しても、「いいね」もなければ返信もなし。
時々フォロー&リポストで賞品が当たるキャンペーンに応募してみるけど、全然当たらない。
それならフォローも解除したくなりますよね(笑)
SNSでファンとつながるのは意外と難しく、テキストだけでは人の温かみが伝わらないのでどこか距離を感じると思います。
どれだけ発信しても閲覧者からコメントが付かない時もあり、企業側の片想いになりがち…
閲覧者側も「どうせ返信してくれないでしょ」と思っており、たくさんの正直な意見・感想を集めるのは容易ではありません。
(ただの誹謗中傷やインプレゾンビは集まりやすいけどね)
しかし、「ファンコミュニティ」という名がつく場所があれば、本当にそのブランドを愛してくれているユーザーだけが集まってくるのです。
コミュニティを運営する企業は、自ら意見や感想を提供してくれるファンの獲得を目指しています。
単に顧客数を増やすことが目的ではなく、愛好家を増やして商品・サービスのアイディアを募集したいと考えているのです。
これは自社の製品を一度も購入したことがない新規顧客を振り向かせるより簡単で、より大きな効果が得られる戦略だと私は思います。

SNSアカウントも「コミュニティ」に変えるべき!?

SNSはストレスのはけ口になりがちだけど、ファンだけの集まりにわざわざやってきて暴れる人はそう多くはないと思います。
例えばXで「公式アカウント」と書かれると企業ホームページのSNS版に見えますが、「コミュニティはこちら」と書かれていたらどうでしょう。
前者は企業情報を入手するのに役立ちそうだからフォローする人が多いと思うけど、後者の場合は「私もファンなの!仲間に入れて!」という気持ちになりませんか?
ファンだけの集いにやってきて根拠のないデメリットや悪口を書き込めば、メンバーから叩かれる可能性もあります。
アカウント名を「○○愛好家コミュニティ」にするだけで、ファンが自主的に投稿し、愛あるアドバイスや情報提供をする場になるでしょう。
これに時々企業がコメントしたり、新商品の情報を告知したりするのも良いですね。
従来の企業SNSとは逆方向の発信をすることで、新たな化学反応が生まれるのではないでしょうか。

 

多くの企業が本腰を入れ始めたコミュニティづくり。
ドン・キホーテなど、メタバースを利用して運営側と消費者が直接交流できるコミュニティを企画する企業も出始めています。
SNS運用を勉強するのはもう古い!?
これからはメタバース×コミュニティが新たなマーケティングとして一般的になるかもしれません。

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