トランプ氏が大統領になったらSEC委員長をクビになる!?ゲーリー・ゲンスラーの進退はいかに

アメリカ 仮想通貨

暗号資産の未来を左右していると言っても過言ではない米証券取引委員会(SEC)、現在委員長を務めているのはゲーリー・ゲンスラー氏です。
前職の金融系企業グループではM&A部門を担当していた人物で、2021年2月にバイデン大統領から任命されました。
金融とブロックチェーンの関係について研究や指導を行っていた経歴もあり、業界へ一定の理解を示しているようです。
そんなゲンスラー委員長が、トランプ氏の大統領再選とともに解任される可能性が出てきました。
今回は、SECのゲンスラー委員長はどんな人なのか調べていきましょう。

暗号資産は証券なのか?

ゲンスラー委員長という人物の立場を整理するためには、まずこの話をしておかなくてはなりません。
暗号資産は、しばしば「証券か否か」という論争が持ち上がります。
証券だとするなら、証券取引所でのみ取引されるのが原則です。
暗号資産取引所は24時間365日いつでも稼働しており、私たちは世界中どこにいても好きなタイミングでトレードできます。
しかし「暗号資産は証券なので、証券取引所で取引するように」と決まった場合、取引時間が制限されることになるのです。
さらに、当局の監督下に置かれるため規制が強化され、暗号資産だからこそ可能だった自由な取引ができなくなるのではと考えられています。
だったらもう法定通貨でいいや、株式でいいやという話になりかねません。
暗号資産を証券とみなすということは、暗号資産ならではの持ち味が生かせないことにもつながるでしょう。
特に影響があるのは海外取引所やDEXを使っている人で、例えば日本人なら金融庁に認可されていない取引所では暗号資産トレードができなくなるかもしれません。
また、ICO(企業などがトークンを発行して資金調達を行うこと)に対する規制が強化される可能性もあります。
せっかく暗号資産の仕組みによってさまざまなビジネスやアイディアが形になりやすくなっているのに、証券だとなればあらゆる面で締め付けられることに…
それでは暗号資産が証券か証券ではないか、誰が判断しているのでしょう。
政府や当局、最高裁判所など、国によって判断を下す機関は違いますが、最終的には「暗号資産を証券とみなすかどうか」が盛り込まれた法律や法令が成立することで正式に定義されるのです。
また、世界的にはアメリカの判断が大きな基準になると考えられています。
そしてアメリカでは連邦最高裁判所によって、ケースバイケースで証券性があるか審判されることが多いです。
SECは暗号資産を発行したDAOの行為が証券法違反にあたると主張し、連邦最高裁判所に提訴した例もあります。
つまり、ゲンスラー委員長はじめSECのメンバーが「暗号資産は証券かどうか」についてどんな意見を持つかによって、暗号資産の未来が変わってしまうというわけですね。

ゲンスラー委員長はどっち派?

暗号資産が証券かどうか議論されているという基本情報をインプットしたら、ゲンスラー委員長がどう考えているか整理していきましょう。
今年3月のTVインタビューで暗号資産が証券かどうかと聞かれた彼は、「この回答は保留するよ」と述べたといいます。
当時のSECは、申請されたイーサリアム現物ETFを承認するかどうかの判断を求められていました。
ここでゲンスラー委員長が「いや証券でしょうね」と言ってしまえば、イーサリアム現物ETF承認への希望は絶たれます。
反対に、証券ではなく「コモディティ(商品)だ」と見解を示せば、それは商品取引法の支配下となり、「金融商品としてイーサリアム現物ETFを認めることができる」と言ったも同然です。
当時のインタビューではゲンスラー委員長がどっちの考えを持っているか明らかにされませんでしたが、「投資家は暗号資産を発行する企業グループの努力に損益が左右されており、証券とみなすこともできるよね」と語っています。
これは、暗に「証券である」と考えていることを示しているのではないかとも取れますが…
SECを代表する身として、明言を避けて混乱を防ごうとしているのかもしれません。
結局イーサリアム現物ETFは承認されましたが、議論の決着はついていません。

暗号資産反対派ではない!?

ゲンスラー委員長は、マサチューセッツ工科大学で教鞭をふるっていた2018年当時、「イーサリアムは証券ではない」とはっきり言っていたそうです。
その時はただの一講師として個人の意見を述べるに留まっていたものの、これが彼の本心ではないかと考える人も多いでしょう。
しかもその時の様子を撮影していた者がSNS上に拡散し、時を経て世界中に注目される授業となってしまいました。
また、バイナンスのCEOや幹部に対し、「アドバイザーにどうだい?」と自身を売り込んでいたという情報もあります。
SECは暗号資産を証券とみなすことを前提に、発行者に対し証券取引法違反の可能性や規制強化の必要性を訴えていますが、メンバー全員が暗号資産に反対なわけではありません。
ゲンスラー委員長のように、かつて証券性を否定していた、現在もコモディティ(商品)だと考えている人物もいると思います。
そもそもSECは判断する場所ではなく、議論を交わす場所です。
暗号資産のあらゆる側面を調査し、さまざまな見解を交わし合うことで正しい答えが導き出されていくのではないでしょうか。
SECとしてどのような見解を示すか、委員長としてゲンスラー氏がどのような発言をするかはひとつの材料になりますが、それがすべてではないのです。
過去の発言を見ても、ゲンスラー委員長が暗号資産反対派と決めつけることはできず、むしろ賛成派である可能性もあるでしょう。

さすがに多すぎた?暗号資産に関する質問に辟易

ニュース番組に出演した際、ゲンスラー委員長は「暗号資産は金融市場のごく一部の話だ」とし、最近は暗号資産の質問ばっかりだと愚痴をこぼしました。
他にも監督しなければならないものがたくさんあるのに、暗号資産のことばかり聞かれてうんざりしているといった様子(^^;) これに対し、金融コラムニストは「そもそもSECが暗号資産に集中しているせいでしょうが」と反論したといいます。 ゲンスラー委員長も「いや、メディアが焦点にしているからだね、このインタビューもほとんど暗号資産のことばっかり聞くんだろ」と言い返したとか。 SECを束ねる代表としては仕方ないことかもしれないけど、メディアに出演するたび「暗号資産は証券ですか!?」と鼻息荒く聞かれたらイラッとしちゃうかもしれませんね(^^;)
でも、金融市場を見守る投資家やブローカー、ディーラーの立場に立ってみれば、のらりくらりと明言を避けつつ、いつ規制強化のジャッジを下すか分からないSECに不満を持つ気持ちも分かります。
ただ、ゲンスラー委員長が勝手に見解を示すことで、市場が混乱したり、その後の司法判断に影響したりする可能性もあるでしょう。
立場ある人だからこそ、簡単に答えるわけにはいかないのです。

トランプ氏が大統領になったら解任される!?

共和党大統領候補としてノリにノッてるドナルド・トランプ氏が、「オレが大統領になったらゲンスラー委員長には辞めてもらう」と発言しました。
そして新委員長には、暗号資産歓迎派の人物を選ぶとしています。
ゲンスラー委員長は2026年まで任期が残っていますが、トランプ氏が再選すれば事実上のクビとなるでしょう。
SECは5人で構成され、メンバーは大統領が任命することになっています。
連邦政府から独立した機関であるとはいえ、トランプ氏の判断ひとつで委員長の進退が決まってしまう可能性も高いです。

 

トランプ氏の発言についてゲンスラー委員長がどう思っているか明らかになっていませんが、内心ヒヤヒヤしているかも…(^_^;)
一転「私も暗号資産は大好きです!」とでも発言すれば、クビは免れる!?
いや、そんなに甘くはないか(笑)

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