メタバース事業に参入する企業は増え続けているといいますが、若干web3.0ブームが下火になっていることもあって成功例はそれほど多くはありません。
しかし、大手企業がメタバース分野に取り組めば、時代を変えるテクノロジーが生まれるかも!
今回はマイクロソフト社のメタバース事業について、現在どんなプロジェクトが進められているか、これからどんな事業を計画しているか調べてみることにしましょう。
マイクロソフト社とメタバース
ソフトウェア開発会社であるマイクロソフト社は、かの有名なビル・ゲイツ氏らによって創業された時価総額世界第2位(2024年8月現在)の超大企業です。
多くの人が使用するパソコンであるWindowsを開発し、ゲーム機Xboxシリーズなども発売しています。
そんなマイクロソフト社がメタバース事業に着手したのは、2014年に人気ゲーム「マインクラフト」の開発会社Mojangを買収したことがきっかけです。
マインクラフトは移動制限がなく、攻略手順を守る必要もない自由設計の「サンドボックスゲーム」であり、メタバース(仮想空間)の先駆けとも言えます。
メタバースの概念は1992年にはすでにこの世にあったそうですが、私たちが身近なものとして体験した仮想空間はマインクラフトが初めてだったかもしれません。
マインクラフトを取得したのは人気ゲームの利権を押さえておきたいというビジネス戦略の一環ですが、この経験が仮想現実に目を向けることにつながりました。
その後もマイクロソフト社はメタバースの可能性を追求し続け、仮想現実にしかできないこと、仮想×現実の融合で成し遂げられることを模索しているといいます。
2021年には米軍に対し、何万台もの拡張現実(AR)ヘッドセットを提供する契約を締結させました。
さらに今年8月には韓国のサムスン社と有機ELパネルの供給契約を結んだと報じられ、新たなメタバースデバイスが開発されるのではと期待されています。
まだ正式に発表はありませんが、マイクロソフト社が本格的にメタバースへ進出したと喜ぶ声も多いようです。
近いうちに、ワクワクするようなプレゼンテーションが行われるのではないでしょうか。
インダストリアルメタバースとは?
マイクロソフト社は、メタバース事業を3つのカテゴリに分けて考えているといいます。
一つはメタバースゲームで遊ぶような一般ユーザー、つまり消費者向けに提供するサービスです。
マインクラフトのようなサンドボックスゲームの開発、オンラインイベントを開催するメタバースの提供といった事業ですね。
それからビジネス向けのサービスとして、米軍やサムスンとの契約のように国・企業に対しAR・VR機器などのメタバースハードウェア、ソフトウェアなどを提供する事業もあります。
しかし、最もマイクロソフト社が注力しているのは、産業向けのメタバースです。
これを横文字でカッコ良くすると「インダストリアルメタバース」というらしいのですが、例えば工業製品の製造現場で作業監視や遠隔操作が可能になる技術として専用の仮想空間を提供します。
さらに現実世界の現場をデジタルツインとして記録し、センサーやデバイスから取得した情報を統合できるサービスもリリースしました。
これにより製造過程での生産効率が向上し、工業製品では難しかったリモートワークでの作業も可能になると期待されています。
メタバースを単なるエンタメコンテンツだと考えている企業も多いですが、マイクロソフト社は現状の課題を改善させる「本当に使える技術」としてメタバースの可能性を広げているのです。
デオ会議をよりリアルに!
マイクロソフト社では、アバターによるコミュニケーションができるサービス「Mesh for Microsoft Teams」を提供しています。
最近は国内でもビデオ通話による会議が行われていますが、メタバースとはちょっと違いますよね。
マイクロソフト社にはもともと「Teams」というビデオ通話・チャットツールがありますが、ビデオのオンオフを切り替えるだけの機能しかありませんでした。
話し相手が突然離脱することもあり、自然なコミュニケーションとは言えない場面も少なくないでしょう。
結局は動画バージョンのチャットであり、一緒に仕事をしているとは思えません。
Teamsのメタバース版であるMesh for Microsoft Teamsは、ただのビデオ通話ではなく3Dの仮想空間が用意されています。
ここでアバターを作成し、そのアバターが空間内を自由に行き来することができるのです。
会議が始まるからビデオをオンに切り替えて、カメラの前にスタンバイして…って、なんだかかしこまってしまいますよね。
でもみんながメタバース内で自由に会話していて、「お、そろそろ会議の時間だ、続きはまたあとで♪」なんて声が聞こえてきたら、リラックスしたまま参加できそう!
常にメタバースオフィスに入室したまま、その中で仕事をすることだって可能です。
先輩や同僚に聞きたいことがあれば、アバターを介してコミュニケーションを取るのもアリ!
現実世界のように自然な会話が楽しめ、しかもオフィスに出社したり遠方まで出張したりする必要もなく世界中どこでも仕事ができるわけですね。
文字だけのやり取りは味気ないし、音声やビデオだけだとなんだか緊張してしまう…という人はマイクロソフト社のメタバースオフィスがおすすめ!
アバターは好きなスタイルに設定できるので、リアルな自分に似せなくてもOK。
アバターを絶世の美女にしてチヤホヤされるのも良し、マッチョな男性に設定してパワハラ回避するのも良いかもしれません( *´艸`)
「実物と全然違うじゃん!(笑)」っていうのも、コミュニケーションのネタになって面白いですね♪
Metaと連携!コンシューマー向け事業はシェアを譲っている
マイクロソフト社は、Meta社(旧Facebook)とパートナーシップを結んでいます。
Teamsの会議では、Meta社のVRヘッドセット「Meta Quest」が使用でき、Meta社のアバターシステムも採用されているそうです。
さらに、Meta社のメタバース「Horizon Workrooms」からマイクロソフト社のTeamsへアクセスも可能だとか。
Meta QuestはTeamsのほか、マイクロソフト社が提供しているアプリにも対応しています。
つまり、WordやExcelを使いながら、VRヘッドセットも装着しながら没入感のあるメタバース会議ができるってこと。
もはや現実世界のオフィスなんて不要ですね…(;’∀’)
一方、一般消費者に向けたエンタメコンテンツの提供については、Meta社の方がリードしているといいます。
マイクロソフト社が一番力を入れているのは産業向け、インダストリアルメタバースです。
その次がMesh for Microsoft Teamsのようなビジネス向けメタバースであり、私たちが家でゲームやイベントを楽しむようなメタバースにはあまり注目していません。
そこまで手を出してしまうと、せっかく提携しているMeta社と張り合うことになるしね(^_^;)
ある程度譲ってあげることで、お互いにWin-Winな関係が築けるのでしょう。
マイクロソフト社はAIにも興味津々!
マイクロソフト社は、自社の検索エンジンに人工知能によって検出された結果を表示すると発表しました。
現在は試験的に導入され、マイクロソフト社の検索エンジンBingで検索すると、一部のユーザーには通常の検索結果の上部にAIが生成した回答が表示されます。
それぞれの回答には参照ページのリンクとソースが掲載され、ここから詳しく調べることも可能です。
Googleにも同じようなサービスがありますが、不正確さが目立っています。
マイクロソフト社は、より正確で簡潔な情報を提示できるようにするため、慎重にアプローチしていきたいと考えているそうです。
マイクロソフト社のようなビッグ企業がどう動くかによって、メタバース分野の未来が決まると思います。
新たな価値が見いだされ、画期的なサービスが続々と誕生すれば、まだまだメタバース業界は伸びていくはず!
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