日本のアニメカルチャーは世界中に広がっており、海外の人が日本のキャラクターのコスプレをしている姿もよく見られるようになりました。
今年6月28・29日にマルタ共和国で開催された「マルタコスプレサミット2024」では、コスプレイヤーによるコンテストやパレードが催されたそうです。
会場に行けない人も楽しめるようにと、バーチャルな空間でもイベントの模様が配信されたとか。
今回は、マルタコスプレサミット2024のメタバース活用事例について深掘りしていきましょう。
マルタコスプレサミット2024とは
「100年後も持続可能な世界で子どもたちの笑顔があふれる世界を」という目標を掲げるサンタギフト・マルタ国際慈善財団は、貧困や障がいなどに苦しむ子どもたちへ夢に挑戦する機会を提供しています。
この慈善団体が企画したマルタコスプレサミット2024は、日本のカルチャーであるアニメやコスプレを通じて、子どもの支援に参加できるチャリティイベントとして開催されました。
サンタギフト・マルタ国際慈善財団は、アニメファンやコスプレイヤーがイベントを楽しみながら、困難な環境に置かれた子どもたちへ関心を持ち、支援の輪を広げるきっかけにしたいと考えています。
シチリア島と北アフリカ沿岸の間に位置し、地中海に浮かぶマルタ共和国は、ヨーロッパのリゾート地としても有名な島国です。
日本から行くと10時間以上かかる遠い国であり、特別日本のアニメが受け入れられている国というわけでもありません。
どうしてアニメ・コスプレイベントだったのかな?という理由については、おそらく企画した人が好きだったからなんでしょうね(笑)
メタバースでリアルタイム配信も
マルタコスプレサミット2024では、メタバースプラットフォーム「Vma plus Station」にてリアルタイム配信も行われました。
このチャリティイベントの目的である支援の対象「世界中の子どもたち」には、病気などで入院している子もいます。
健康な大人でも、遠く離れた国に住んでいれば簡単には行けないよ(^_^;)
参加したくても会場まで行けない人のため、メタバースでもリアルタイムに配信しよう!ということになったわけです。
公式サイトでの配信も可能だったと思いますが、どうしてメタバースにしたのでしょう。
これは、配信を視聴する人も、現地に行って参加する人も、同じような臨場感を持ってもらいたいからですね。
リアル会場はもちろん、メタバースでも参加者同士が会話をし、お互いの姿を見ながら一緒に楽しめます。
一方的な動画公開にせず、視聴者のコメントもリアルタイムに表示するようにしたことで、マルタ会場の参加者と世界各地の視聴者に一体感が生まれました。
さすがに現地会場の中に入っているような没入感までは得られなかったようですが、スクリーンを通して間接的に会場内の熱気を体感できたといえるでしょう。
ご当地ヒーローの映画も特別上映
マルタコスプレサミット2024ではコスプレイベントのほか、アニメソングを歌うアーティストによるライブパフォーマンスなども開催されました。
さらに、福島県白河市のご当地ヒーロー「ダルライザー」の協力により、映画「ライズ ダルライザー -NEW EDITION-」の特別上映も行われています。
マルタ共和国のリアル会場とメタバース会場の同時上映となったそうで、日本のローカルヒーローが世界デビューを果たした瞬間となりました。
リアルなイベントでは日本のご当地キャラを海外へ連れて行くのは大変そうですが、メタバースならどこへでも登場させられますね(笑)
(このブログは小さなお子様は見ていないと思うので言ってしまいますが)着ぐるみや衣装の輸送コストもかからないし…
今回のイベントでは映画上映のみとなりましたが、メタバース会場ならダルライザー本人(アバター)が出演することもできたんじゃないかな?と思います。
チャリティーコスプレコンテストの投票で寄付ができる!?
マルタコスプレサミット2024の連動企画として開催された「チャリティーコスプレコンテスト in メタバース」では、メタバース会場でコスプレイヤーによるパフォーマンスが行われました。
エントリー参加しているコスプレイヤーには1票1,000円で投票することができ、集まった資金は子ども達の医療支援・自立支援に充てられたとか。
コスプレコンテストに参加しながら、寄付もできるという面白い企画ですね。
今回は24名の出場者に対し、総計85票が投票されたというので、合計85,000円が集まったというわけか…
投票期間はたった1週間だったそうなので、この期間をもうちょっと伸ばしたり、参加するコスプレイヤーの数を増やしたり、有名コスプレイヤーさんを呼んだりすればさらに多くの金額を集められるかもしれません。
日本のアニメ産業って市場規模3兆円を超えているそうなので、もっと大々的にやれば、かなりの額が世界中から集まるのでは…?
各種メタバース会場を特設
マルタコスプレサミット2024では、コスプレ系イベントのほか、日本の文化や子どものアートを展示するギャラリーも設けられました。
これらはマルタの現地会場ではなくメタバース上に設置され、世界中の人々からアクセスが集まったといいます。
輪島特設会場
能登半島地震によって大きな被害を受けた石川県輪島市より、伝統工芸品「輪島塗」の作品が展示されました。
美術館のような空間で、フロアには畳のようなデザインが施されています。
こどもアートギャラリー
ウクライナに住む障がいを持つ子ども達のアート作品が展示されました。
この作品は「Train of Life いのちの電車」絵画展に出展されたものです。
メタバースプラットフォーム「Vma plus Station」とは
マルタコスプレサミット2024のメタバース会場となった「Vma plus Station」は、情報通信会社Vma plus(ブイマプラス)株式会社が開発・運営しているプラットフォームです。
アプリのダウンロードは不要で、ブラウザ上でメタバースにアクセスできます。
今回のイベントのように動画を配信するほか、ブースを設営して展示会や商品販売も可能です。
EC機能付きブースを選択すれば、ブース内で現物商品やデジタル商品が販売でき、無料ダウンロードや投票機能も利用できるとか。
ネットショップを運営したい人にも使えそうなプラットフォームですね。
LINEからのアクセスも可能で、顧客から新規アカウント登録やID・パスワードの設定をしてもらわなくてもコンテンツを利用させることができます。
物販のほか、アートの展示、ライブ配信やコミュニティ交流、企業のミーティングやマーケティングにも使えそう…!
さらにVma plus Stationには六角形の土地「Hexa」10,000個によって構成される「Meta ZIPANG (メタジパング)」という空間が広がっており、実際の日本の土地の位置とリンクしているとか。
例えば東京の会社がMeta ZIPANG内にメタバースオフィスを設置する場合、Meta ZIPANG地図上の東京の位置にオフィスのオブジェを置きます。
ユーザーはここからMeta ZIPANG内のオフィスにアクセスできるというわけですね。
メタバースは地球上にない、まったく新しい場所を構築することもできますが、あえて「異次元の日本」を仮想空間に再現する面白さもあると思います。
メタバースの活用事例は、まだまだここから増えていくでしょう。
現状の課題を解決するのはもちろん、世界がひっくり返る奇想天外な使い方にも期待したいですね。
コメント