NFTプロジェクトの未来を左右するのは「実用性」!?

NFT

統計上NFTプロジェクトは平均寿命が約1年2ヶ月であるとされ、2021年頃にスタートしたプロジェクトの96%が活動を停止していることが分かっています。
以前にもこの話題について深掘りし、業界内では「NFTは終わった」とまで言われているとご紹介しました。
2021~2022年当時は「NFT狂時代」であり、はっきり言ってNFTでなければならないアート作品なんてほんの一握りだったと思います。
これから私たちが注目するべきは、「とりあえず始めてみたNFT」ではなく、「NFTだからこそ達成できるプロジェクト」なのではないでしょうか。
今回は、NFTの実用性について考えてみたいと思います。

NFTの取引高はピーク時の約2.5%まで減少

あるレポートによれば、NFTプロジェクトの22%が2022年に活動を休止、さらに2023年には30%まで上昇しました。
2024年9月現在では、すでに20%近くのNFTプロジェクトが運営を終了させています。
NFTの取引高から見ても、ブームが大きく衰退したと判断できるでしょう。
2021年夏のピーク時に比べ、約2.5%の水準まで取引高が減少しました。
かつてはプレセールに投資家が殺到し、ガス代が高騰、システムダウンしたプロジェクトもありましたよね。
SNSで新作が出ると公表した途端、フォロワーが急増したプロジェクトも。
いざリリースされれば数秒で完売、「クリック戦争」なんて言葉も生まれました。
しかし現在は、運営側が一生懸命拡散したり、ホルダーに向けてセールスしたりすることでようやく売り切っているというプロジェクトも多いです。
これは、イーサリアムやガス代の高騰だけが理由ではないと思います。
業界内で有名なクリエイター、ファウンダーのプロジェクトであっても、「そもそもNFTなんてこの先価値がつくか分からない」という風潮が漂っている現状では売れないのも仕方ありません。
ほとんどタダみたいなプレセールやフリーミントでも人が集まらないのは、ガス代を払う価値すら見い出せないからなのでしょう。

どうしてNFT熱は冷めたのか

なぜ、あれほどまでに盛り上がっていたNFT業界がここまで冷めてしまったのでしょうか。
その理由は専門家によって見解が分かれますが、私が一番納得できたのは「NFTでなければならない意味がないから」です。
2021~2022年頃によく売れていたNFTは、アート的な作品がほとんどでした。
イラストだったり、アイコンだったり、NFTゲームのキャラクターやアイテムだったり、ざっくりまとめれば「デジタルアート」ですね。
NFTゲームに使用するアイテムの場合はNFTでなければならないと思いますが、ただのイラストやアイコンなら普通のデジタルデータでも良いはず。
しかし、コピーされる可能性があり本物だからこそ価値がある作品、そして未来に残すべきアート性の高い作品ならば、NFTにして保護する必要があると考えられてきたのです。
以前のNFTブームで人気になったコレクションのほとんどが本物を証明する意義があったとしても、永久に保存するべきアート的な価値があったとはいえないでしょう。
ただのアートであればガス代を気にすることなく、純粋な作品の評価額だけで購入できます。
わざわざ暗号資産取引所に口座を開設し、イーサリアムを購入し、メタマスクを用意しなくても、もっと簡単に買えます。
多くのコレクターがNFTをやめて既存のアートに流れていったわけではありませんが、芸術がなんたるかも分からない、にわかコレクターの熱は冷えていったと考えられるでしょう。
そしてNFTを出品しても買い手がつかない、安い価格で転売されることが続き、徐々に取引高が低下、プロジェクトに入るお金も少なくなっていった…という流れが今のNFT冬の時代をもたらしたのだと思います。

日本の有名NFTプロジェクトにNFTであることの意味はあったのか

それでは、あの頃みんなが買い漁っていたNFTはどうだったのか、振り返ってみよう!
例えばCryptoNinjaPartners(CNP)が大人気でしたが、あれは投機商品的なNFTコレクションでした。
高額で取引されていたため、コピーと本物を区別する意味はあったでしょう。
ただ、そのイラスト自体に高いアート性があったとは言えません。
ちょっとイラストが得意なら簡単に描けそうなデザインで、「イケハヤが手掛けているプロジェクトの~」って言われなければ見向きもしなかった人も多いのでは?
ポップで可愛いと評価する人もいますが、これを数百年先の未来に引き継ぎたいと考える人は少ないと思います。
結局あれはお金を集めるための株券で、高額になったら売る投機商品であり、そこに投資家が集まったといえるでしょう。
「現実世界のお店で使えるクーポン配布」という豪華すぎるホルダー特典があったのも、CNPがただのアートではなかったことを物語っています。
さて、本題に戻りまして、CNPにはNFTでなければならない意味があったのか。
私は、投機商品として成功したものの、NFTとして有意義なプロジェクトではなかったと思います。
あれがNFTじゃなかったとしても、
「購入したら特典があるよ!」
「あの有名マーケター、イケハヤのプロジェクトに乗れるよ!」
というエサだけで十分釣れたからです。
本物を持っている人の権利を守る上ではブロックチェーンに刻む意味はありましたが、未来永劫残したい「日本を代表するNinjaアート」とはいえないですよね。
実際、プロジェクトの盛り上がりが下火になってきたと同時に売る人が続出しています。
これは、CNPがただの投機商品であったことを示しているのだと思います。

NFTに実用性はある?

NFTアートが終焉を迎えた一方で、さまざまな分野で新たな活用事例が生まれています。

NFTゲーム

NFTゲームは、ただのアート作品とは違ってNFTであることの意義が明確です。
ブロックチェーンで構築されたNFTゲームに登場させる上で、キャラクターやアイテムもNFTである必要があります。
さらにそれをゲームの枠を超えてあらゆるプラットフォームで利用でき、売買取引で利益を生むことも可能です。
NFTとして発行すれば、遊び方が無限に広がると考えられるでしょう。
ただのゲームとしてプレイするだけなら実用性があるとはいえませんが、プレイすることによってお金が稼げるわけですからね(^^)♪
NFTは大切なデータを半永久的に残せるだけでなく、自由で透明性の高い取引ができるというのもメリットのひとつです。
アート性があるかどうかよく分からないイラストを売るよりも、NFTゲームで遊ぶためのアイテムを売買した方が実用的だと思います。

不動産NFT

NFTは不動産業界にも取り入れられており、貸別荘をNFT化するプロジェクトもあります。
古い物件をリフォームして豪華な別荘としてよみがえらせ、NFT保有者だけが泊まれるシェアサービスを展開しているとか。
空き別荘を再活用することで、地域活性化、地方創生につながると期待されています。
別荘の宿泊権利をNFTにすれば、保有者だけの特典を簡単に付与できるというわけですね。
別荘NFTを第三者に譲渡したり、マーケットに出品したりするのもOKなのだそう。
保有者の権利を守りつつ、柔軟に譲渡・売買するには、やはりNFTの技術が効果的です。
こちらも、NFTのメリットを上手に生かしている例だといえるでしょう。

 

NFTの技術を活用するのは簡単で、どんな分野にもチャンスはあると思います。
しかし、プロジェクトを存続させていくには「NFTではなければならない」という意義、それを世界に納得させるだけの運営理念が必要になるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました