自動車メーカーがメタバース事業に意欲的なのはなぜ?広がる新たな可能性

メタバース

LOLLIPOP(ロリポップ)の公式Xでも度々紹介されていますが、自動車業界がメタバースを活用する事例が増えています。
メタバース事業はエンタメの分野でよく見られ、ライブやファンミーティングなどの各種イベントが仮想空間で行われてきました。
デジタルとアナログの世界をつなぐ「もう一つの空間」として、メタバースは受け入れられてきたのです。
そんなメタバースが自動車業界とコラボしたら、一体何が生まれるのでしょうか。
今回は、メタバースを活用している自動車関連企業について調べてみました。

「メタバース×自動車」でできること

自動車業界がメタバースを利用するって、どういうことでしょう。
私がまず思いついたのは、新車発表のイベントをメタバースで開催するというものです。
2022年に日産自動車が軽EV「サクラ」の新車発表会をバーチャル空間で行っていますが、これはエンタメ的な使い方であるといえるでしょう。
最近は、イベントだけでなく設計や製造の段階からメタバースを利用するプロジェクトもあるようです。
例えば設計した自動車をメタバースで動かしてみる、製造ラインのアイディアをメタバースに実装して試験運用してみるなど、実際に部品を組み立てる前により高度なシミュレーションが可能になります。
また、自動車のプロモーションにメタバースを活用し、従来の営業活動よりも多くのターゲットにアプローチしようとする試みも活発になっているようです。

メタバースでシミュレーションするメリットは?

データの分析だけでは設計通りに動くか分からない場合もあり、本物と同じ材料を使って試作品を作れば大きなコストがかかるでしょう。
数字データをメタバースに反映させて視覚化し、実際に走行させることで費用を抑えつつ精度の高いシミュレーションができます。
新しい製造ラインを構築する際にも、会議で出たアイディアをすぐ形にするわけにはいきませんよね。
計算や議論を重ね、実際に機械などを配置した上でテスト稼働を行い、問題がなければ実装となりますが、これにもコストと時間がかかります。
お金をかけて製造ラインを完成させたのに、実際に動かしてみたら効率が悪くてやり直し…ということも考えられます。
メタバースを活用すれば、現実世界の工場で今まで通りの製造を続けながら、仮想空間で新しい製造ラインのテストができるのです。
現実のものと同じ物体をメタバースに3Dモデルとして構築したものを、「デジタルツイン」といいます。
自動車業界であれば、メタバース上に設計した自動車や部品、製造ラインなどがデジタルツインとして利用されています。
これを実際に動かしてデータを取得し、そのデータを分析して現実世界の製品づくりや製造ラインの構築につなげようとしているわけですね。
シミュレーション期間は短期・長期いずれも設定でき、数年かけて製造ラインの効率を計算する企業もあります。
現実世界で取れたデータをデジタルツインに反映することも可能で、双方向のシミュレーションでより精密なデータを取得できるでしょう。

自動車とメタバースの関係は消費者にもメリットがある

自動車の購入を検討する際、販売店に行って実際に見て触れて確かめたいという人は多いですよね。
自動車のデザインも気になりますが、ハンドルやレバーの肌触り、シートの座り心地、車内の広さなども車選びの重要な基準になるでしょう。
限定モデルの車は設置されているお店が少なく、見たい車を求めて県外の店舗を訪れるという場合もあります。
特にこだわりのないお客さんであれば、たまたま訪れたお店に置かれている中から選んでしまうかも。
しかし、メタバースを利用して全国どこでもお目当ての車をチェックできるとしたら…?
「安いのでいいや」と思っていたお客さんも、ちょっとお高めの限定モデルを購入してくれるかもしれません。
これは販売店にとって営業の幅が広がるだけでなく、お客さん側にもメリットがあります。
遠くまで足を運ばなくても販売されているすべての車を見ることができ、車内の細部までチェックできるでしょう。
営業マンにぴったり張り付かれていると気まずいという人も、アプリなどを使えば思う存分好きな車を見られますね。
VR機器を併用すれば、メタバース内で試乗も可能です。
事故を起こすこともないため、高級車への試乗も気軽にできます。
車選びの際にメタバースで3D自動車を確認するのが主流になれば、実店舗へ新発売の車を輸送したり、車を傷付けられるリスクもある試乗イベントを開催したりする必要はなくなるかもしれませんね。

車内までメタバースに!?

イーロン・マスクのテスラ社など、世界中の自動車メーカーが自動運転システムの実用化を目指しています。
もし出発から到着まで一切人の手が必要ない自動運転が可能になったら、その間私たちは何をすれば…?
今まで運転が苦手で緊張しっぱなしだった人もリラックスして会話が楽しめるだけでなく、お酒を飲んだり、眠ったりすることもできるのではないかといわれています。
しかし今のところは、いつでも手動での運転に切り替えられる状態で待機していなければならないと想定されているようです。
かといって、自動で動いているハンドルをひたすら見つめて過ごすのも辛そう…
自動運転システムの開発を行っている自動車メーカーのなかには、自動運転中に楽しめるコンテンツを提供するため、車内のメタバース化を検討している企業もあります。
例えばVRディスプレイを設置した車では、没入感のあるメタバースでゲームや映画などを楽しめるようになるかも。
窓ガラスをARディスプレイにすれば、車窓から見える景色に観光情報などを表示させることが可能です。
「口コミNO.1!地元の人気お蕎麦屋さん」と表示されれば、旅行先でのお店選びにも役立ちますね♪
なんだかとっても近未来的…!
すぐにでも完成させてもらいたい技術だなと思いました。

「メタバース×NFT×コミュニティ」で生まれるもの

最近は、ファッションやジュエリーなどのハイブランドがNFTプロジェクトを立ち上げ始めています。
例えばブランドのモチーフを取り入れたNFTを発行し、保有者特典として新商品や限定商品の優先購入権を付与したり、ノベルティを配布したりして顧客ロイヤリティを高めるというケースが多いです。
これはNFT保有者を優遇するだけでなく、「NFTを持っている人=ブランドの熱烈なファン」というイメージを利用した、コミュニティの結束力を高める戦略だと思います。
さらにこのNFT戦略にメタバースを導入することで、NFT保有者だけが入室できるコミュニティルーム、NFT保有者だけがアクセスできる新作販売会など、より限定的なVIPサービスが提供できるでしょう。
自動車業界もこれに目をつけており、メタバースのほかにNFTも取り入れることによって、実店舗に来店しない顧客との接点を創り出そうとしています。
自動車は顧客単価が高い一方、来店客数を増やすのは難しい業界です。
高級ブランドもその点では同じで、売れれば大きなお金が入るけど、そもそもそんなに売りさばける商品じゃないのです。
実店舗に多くの人を呼び込むマーケティングはもはや古く、「来店しない客をどう喜ばせるか」を考える時代に来ているのかもしれませんね。

 

自動車業界の未来は、メタバースが握っている!?
設計や製造に限らず、販売や営業、マーケティング、コンテンツの提供、コミュニティの創設など、あらゆる場面でメタバースが活用できそうです。
いつか私も、「このお店はメタバース試乗できる?」なんて聞いてみたい( *´艸`)

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