アメリカでは、暗号資産プロジェクトの創業者や技術者の30人以上が銀行サービスの利用を制限されたことがあるとか。
業界関係者のなかには、これは「オペレーション・チョークポイント2.0」と名付けられた組織的な圧力によるものだと指摘する人もいます。
イーロン・マスク氏もこの話題をXに投稿し、web3.0の民が不当な扱いを受けていることをフォロワーに知らしめました。
今回は「オペレーション・チョークポイント2.0」とは何か、暗号資産業界にどんな影響があるのかを調べてみましょう。
チョークポイントとは
「チョークポイント」自体が聞きなれない言葉なのですが、これはもともと軍事用語だそうです。
choke(チョーク)とは「喉を詰まらせる」という意味で、軍事作戦においては狭い谷間や海峡など、軍を進めるうえで要衝となる場所をいいます。
これが転じて、政治や経済に関する話題では機能しなくなることでサプライチェーンの流れを止めてしまう可能性のある「急所」を指すようになりました。
例えば主要な銀行が海外送金システムを停止させると、国をまたいだ商取引や金融ができなくなります。
この場合、その銀行は国家の経済を左右するチョークポイントであると言えるでしょう。
また、技術分野では目標とする性能を実現するために必要不可欠なテクノロジーのことを「チョークポイント技術」と呼ぶこともあるそうです。
チョークポイント作戦とは
アメリカでは、オバマ政権下で「チョークポイント作戦」なる取り組みが行われました。
これは犯罪者による銀行システムへのアクセスを拒否することで、詐欺・違法行為を根絶しようという作戦だったようです。
当局は犯罪の懸念がある企業と関係を断つよう金融機関に圧力をかけ、違法行為を行う者が活動資金を得られにくい環境を目指しました。
しかし、規制の対象となった企業のなかにはホワイトでクリーンなところも少なくなかったようで、合法的に運営している企業を不当に制限していると指摘されてしまいます。
その結果、2017年にはチョークポイント作戦を停止するとの判断が下されることになりました。

チョークポイント作戦が密かに復活!?
オバマ大統領の頃のチョークポイント作戦は企業や政治・経済批評家から大きな反発を受け、現在はプログラムを凍結…しているはずでした。
ところが暗号資産業界関係者の一部で銀行サービスの利用を断られたという人が出始め、「チョークポイント作戦が再び稼働しているのでは…?」との疑惑が持ち上がります。
銀行は顧客を選ぶ権利がありますが、取引を断られる人が暗号資産業界人ばかりであるというのはやっぱり怪しいですよね。
イーロン・マスク氏は「30人ものテック企業創業者が銀行サービスをデバンク(拒否)されている」と指摘し、これを知っている人はいるかとフォロワーに問いかけています。
ベンチャーキャピタル企業の共同創業者マーク・アンドリーセン氏は、「政治的に敵対視されている人物、人気のないテック系スタートアップは”オペレーション・チョークポイント2.0”の対象だ」と述べ、かつて大きな反発を招いたチョークポイント作戦による悲劇が再び繰り返されているとしました。
オペレーション・チョークポイント2.0とは
オバマ時代の作戦が復活したと噂される「オペレーション・チョークポイント2.0」では、当初のプログラムを改定したシステムが稼働しているとみられています。
銀行やクレジットプロバイダーに対し、リスクが高いと判断した企業への融資またはその他の金融サービスを削減・停止させるよう強制するものです。
これはホワイトな企業との取引を継続させながら、犯罪行為を行う者の検出や違法行為の抑止につながる…と支持する人もいます。
一方、テック企業やスタートアップ、暗号資産関連事業に関わっているというだけで金融サービスが受けられなくなり、「既存の経済圏から締め出しを食らっている創業者や技術者がいる」と主張する批評家も多いです。
こんなことが続けば、web3.0技術の進化は途絶え、暗号資産やNFT、ブロックチェーンなどの関連業界は冷え込んでいくでしょう。
オペレーション・チョークポイント2.0はweb3.0時代にとって、技術の革新を阻害する悪しき戦略になりえるのです。
暗号資産業界への影響は続く?
オペレーション・チョークポイント2.0では、特に暗号資産業界への風当たりを強めているといわれています。
アメリカでは証券取引委員会(SEC)が暗号資産の監視を担っており、トランプ第二次政権発足まで規制強化の方向で進んでいました。
現在はトランプ大統領の采配によって暗号資産穏健派のメンバーが置かれ、少しは監視の目が和らぐのではないかとみられていますが…
オペレーション・チョークポイント2.0の主導者がSECである可能性も高く、トランプ大統領に見つけられるまでひっそりと作戦を進め続けるつもりだったかもしれません。
しかし、トランプ大統領のそばにはイーロン・マスクがいる…
懇意にしている暗号資産業界者の指摘を受け、トランプ大統領は暗号資産サミットでオペレーション・チョークポイント2.0の終了を呼び掛けています。
トランプ大統領が関連令に署名さえすれば、チョークポイント作戦が再び眠りにつく可能性はあるでしょう。
暗号資産業界を規制するなら、既存の銀行に圧力をかけるよりもっと賢いやり方があるような気がします。
私は今のところチョークポイント作戦の対象には入ってなさそうですが、プロジェクト立ち上げたら規制されちゃうかも!?
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