ビットコインの盛り上がりで影が薄くなっていたイーサリアム(ETH)ですが、最近は調子が良さそうですね。
7月4日から徐々に価格が上がり始め、2週間後には+1000ドルも上昇しました。
これは1週間の暗号資産市場で最も強い値動きだったと評価され、アメリカで可決された暗号資産関連法が追い風になったと分析されています。
今回は、改めてイーサリアムの特徴や魅力、ブロックチェーンにおける課題についておさらいしてみましょう。
イーサリアム(ETH)とは
イーサリアムとは、分散型アプリケーション「DApps」の開発・運用ができるブロックチェーン、そしてその基軸通貨のことをいいます。
ブロックチェーンの話をする時は「イーサリアムチェーン」、基軸通貨の話をする時は「イーサリアム(またはETH)」と表現するケースが多いでしょう。
イーサリアムチェーンは金融や保険、NFTゲームなど、さまざまな分野でDApps開発・運用のために利用され、他のDApps対応可能なブロックチェーンと比べても高いシェア率を誇るブロックチェーンです。
プラットフォームによっては、「イーサリアムネットワーク」と明記されていることもありますが、基本的には同じものだと思っていてください。
暗号資産イーサリアム(ETH)はイーサリアムチェーンによって構築されたプラットフォームやアプリを使用する際にやり取りされるトークンで、ブロックチェーンの利用で発生するガス代(手数料)としても徴収されます。
また、イーサリアムチェーン上での取引を承認するノードに対しての報酬もETHで支払われます。
イーサリアムチェーンの特徴
イーサリアムチェーンを語る上で最も重要なのが、「スマートコントラクト」という機能です。
簡単に言えばあらかじめ売買などの契約内容をプログラムとして搭載するシステムのことで、第三者の仲介を必要とせず自動的に注文や決済などを実行してくれます。
物品や代金の受け渡しをする店員さんがいなくても商品が買える、自動販売機のようなシステムですね。
DeFiやNFT売買プラットフォームなどDAppsの多くがイーサリアムチェーンによって構築されており、スマートコントラクトの実装によって従来の金融機関や中央集権型暗号資産取引所(CEX)、暗号資産・NFTの交換業者などの仲介がなくても売り手と買い手が直接取引することができます。
ブロックチェーン上に成り立っているシステムなので、契約内容の変更や不正な取引の成立もかなり難しいでしょう。
この高度なプログラムを突破して取引の妨害や改ざんをすることは、事実上不可能だと考えられます。

進化するイーサリアム
イーサリアムチェーンは、たびたびプログラムのアップデートを繰り返しながら開発が進められている発展途上のブロックチェーンです。
2015年に一般公開されたのち、次のようなアップデートを経て今に至っています。
2016年3月 アップデート「ホームステッド」
2017年10月 アップデート「メトロポリス」
2020年12月 アップデート「セレニティ」→「イーサリアム」2.0の実装
2022年9月 アップデート「マージ」
2024年3月 アップデート「デンクン」
2025年5月 アップデート「ペクトラ」
アップデート後にイーサリアムが急騰したことが何度もあり、アップデートに関する情報は投資判断をする際の材料にもなります。
ただし大型アップデートにもかかわらず「期待外れだった」と評価されることもあり、必ず価格上昇につながるわけではありません。
イーサリアムチェーンの問題点
イーサリアムチェーンは、「スケーラビリティ」について課題があると長年いわれてきました。
暗号資産におけるスケーラビリティとは、1単位時間(1秒など)あたり何件処理ができるかという指数のことです。
ビットコインは1秒間に7件、ソラナでは5万件と、ブロックチェーンによってスケーラビリティの高さは違います。
イーサリアムはこれまでのアップデートで処理件数が少しずつ増えているようですが、現在1秒あたり15件と、他の銘柄と比べて特別スケーラビリティが高いと言える状態ではありません。
イーサリアムは多くのDAppsを開発するブロックチェーンであるがゆえにトランザクションが大量に集まりやすく、処理能力が追い付かないこともあります。
スマートコントラクトによって本来ならスピーディーに取引できるはずが、イーサリアムの処理能力を超えてしまいトランザクション承認の遅延が発生してしまうのです。
その結果、いつまで経っても取引が成立しない、ガス代ばかりが高くなってしまう…ということがよく起こっています。
最新アップデートの「ペクトラ」でもスケーラビリティの向上を目指していましたが、劇的に処理能力が高まったわけではないといわれています。
イーサリアムチェーンのスケーラビリティ問題が解決するのは、まだ先のことになるでしょう。
イーサリアムはDAppsの開発など、web3.0時代に欠かせないブロックチェーンのひとつです。
最近の価格上昇はビットコイン景気に付随するものかもしれませんが、今後NFTの価値が見直されればETH単体でも上昇気流に乗れるでしょう。
アップデートの計画もまだあるようなので、ますます注目度が上がりそうな銘柄です。


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