世界でこんなに違う!?アメリカ・中国・カナダ・日本の暗号資産規制法を比べてみよう

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2025年10月22日、金融庁は暗号資産の制度設計について議論する金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」を開催しました。
私たち暗号資産投資家が最も気になっているのは、暗号資産の取引にかかる税制がどう変わるかですね。
現行では総合課税となっているので最大で55%もの税金が課せられる一方、株式などの金融商品と同じように分離課税となれば一律約20%とかなり軽減されます。
一刻も早くそうなってほしいのですが、「検討」や「意見交換」からなかなか進まないのが日本という国です(^_^;)
そしてそのノロノロ改革が、他国の足を引っ張っている可能性もあります。
今回は暗号資産関連法について、世界の国々と日本の現状を比較してみましょう。

アメリカは暗号資産を歓迎

米連邦議会は2025年7月14日から「クリプトウィーク」を開始し、暗号資産に関する複数の法案を集中的に審議しました。
その結果、ステーブルコインの規制枠組みを盛り込んだ「ジーニアス(GENIUS)法」が正式な法律として成立しています。
審議から新法ができるまでにたった3日というスピーディーさから、暗号資産関連法の整備がトランプ大統領の肝いり政策であることをうかがわせますね。
クリプトウィーク中にビットコインは史上最高値水準である12万ドルを超え、世界中の投資家がアメリカに注目していたといえるでしょう。
昨年7月には、トランプ大統領は暗号資産カンファレンス「ビットコイン2024」にて暗号資産業界への支援を約束しています。
彼はジーニアス法などいくつもの暗号資産関連法案に署名したことによって、この約束を守ったわけですね。
国家戦略的にビットコインを準備金とする大統領令にも署名しており、アメリカでは暗号資産大国への道が完成しつつあります。

中国ではビットコインマイニングが禁止

かつて、中国は世界中のハッシュパワーのうち2/3を占めるほどのビットコイン大国でした。
しかし政府が2060年カーボンニュートラルを達成するとの目標を掲げると、ビットコインのマイニングにかかる電力はエネルギー政策の障害とみなされるようになります。
2021年5月には政府がビットコインマイニングを禁止し、翌月に暗号資産を通じてマネーロンダリング(資金洗浄)したとして1,100人以上を逮捕しています。
さらにその数か月後には、中央銀行にあたる中国人民銀行がすべての暗号資産取引を禁止することを発表しました。
中国の暗号資産に対する厳しい取り締まりは、金融犯罪の防止と経済への安定性を図るためだとしています。
しかし実際は、これらの法律が自国の先進技術の進化を阻害し、IT以外にもあらゆる分野での産業発展を抑制しているようです。

カナダはビットコインETFを初めて承認した国である

アメリカでのビットコイン現物ETF初承認は、国際的に大きなニュースとなりました。
しかし、当時はすでにいくつかの国でビットコインETFが取引されていたのです。
世界で初めてビットコインETFを承認したのは実はカナダで、財務当局は暗号資産を金融商品と同じように扱っています。
一方で、カナダは暗号資産に対して積極的な規制をかけており、すべての暗号資産交換業者と取引プラットフォームは州当局への登録が必要です。
証券管理局、投資業規制機構が常に監督し、コンプライアンスを遵守する投資会社を資金サービス業者(MSB)として登録しています。
暗号資産業界の発展をサポートしながらも、厳しい規制で投資家の利益を守ることを最優先にしている国の一つです。

日本はどうするか考え中?

現行では、日本は暗号資産を決済手段の一つとしています。
現金、口座引き落とし、クレジットカード払い、電子マネー払いの他に、暗号資産という手段があるというわけです。
暗号資産は資金決済法に規制され、売却益が雑所得に該当し、総合課税となります。
しかし暗号資産は投資商品の性質も持ち合わせており、現在はビットコインを何かの支払いに充てるより、売買取引をしている人の方が多いのではないでしょうか。
実務上の暗号資産の役割や性質を考えれば、決済手段ではなく金融商品と捉えるべきです。
あらためて暗号資産を正しい資産区分に分類し直すよう、暗号資産業界からも要望の声が上がりました。
金融庁をはじめ政府は暗号資産を金融商品取引法の管理下に置くことを検討し、関連法の改正について議論を重ねています。

各国の足並みが揃わないことがリスクに

20の国と地域(G20)のリスクを監視する機関「金融安定理事会(FSB)」は2025年10月16日、暗号資産規制に関する各国の取り組みに「重大な」が存在していると指摘しました。
そしてこの格差が「金融市場の安定性を損ない、グローバルな金融取引における脅威になりうる」との検証結果報告書を提出しています。
これはつまり、暗号資産のルールづくりに取り組んでいる国とそうでない国があるということ。
さらに各国で規制の内容に一貫性がなく、国際的なルールとして採用するには不十分であるというわけですね。
はっきりとOK・NGラインを明確にしている国ばかりであれば良いのですが、日本のようにどの法律に規制させるか迷っているような国があると、いつまでも足並みを揃えられません。
日本政府の優柔不断さは、地球規模の暗号資産発展を邪魔するリスクともいえるでしょう。

 

そもそも、暗号資産は国境を超えて取引されるものです。
それぞれの国で規制の内容が異なるからといって、自由でスピーディーな取引が阻害されるようなことがあってはいけません。
金融庁や担当大臣もウダウダ言ってないで、さっさと決めるべき時に決めてほしいですよね(^_^;)

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