金融庁が暗号資産の無登録販売を厳しく規制する方針を検討しているとのことですが、これは実業家の溝口勇児氏が立ち上げた「サナエトークン」による騒動が発端ではないかとみられています。
これは高市早苗首相をモチーフとした暗号資産で、発行主体が暗号資産交換業者の登録を受けていなかったことが発覚し炎上しているようです。
今回は問題となっているサナエトークンの概要、問題点や投資リスクについて調べてみましょう。
高市首相は無関係?サナエトークンとは
2月25日にローンチされた「サナエトークン(SANAET/$SANAE)」は、ソラナブロックチェーンによって発行されたミームコインの一つです。
20社ほどの会社経営に携わる自称”連続起業家”溝口勇児氏によって立ち上げられた「「Japan is Backプロジェクト」の一環であり、高市早苗首相の名前を冠したトークンとして開発されました。
このプロジェクトは「国民の声を集めて政府に届けよう」という取り組みであり、参加者は貢献度に応じたトークンを受け取れるといいます。
公式サイトによれば、初期段階で10億枚を供給し、半数以上を少しずつ売却しながら運営費用などに充てる予定でした。
溝口氏は自身が出演するYoutube番組にて「高市首相サイドとコミュニケーションを取っている」などと語っていたようですが、高市首相は関与を全否定しています。
一方でネット上には高市首相の関係者とみられる人物と溝口氏の接触を示す証拠があるとされ、本当のところはまだ分かりません。
サナエトークンが大暴落!
サナエトークンはローンチ直後に初期価格の0.1円から4円まで高騰し、運営は大きな活動資金を手にします。
ところが高市首相が関与を否定すると、3月17日時点で0.7円まで急落してしまいました。
2月25日には高市首相の後援会などが運営しているとされるXアカウント『【公認】チームサナエが日本を変える』がプロジェクトについて宣伝し、「取り組みに共感している」などと投稿していましたが、現在は削除されています。
さらに高市首相本人も公式Xにて「全く存じ上げない」と完全否定し、政府の承認を得ていない「ただの民間プロジェクトだった」と投資家からは落胆の声が広がりました。
細かい経緯はどうであれ、現時点ではJapan is Backプロジェクトやサナエトークンが高市首相とは全くの無関係であると言わざるをえません。
また、「発行団体が暗号資産交換業者の登録を受けずに販売した可能性がある」として金融庁が調査を検討しており、生みの親である溝口氏は窮地に立たされています。

サナエトークンの問題点は?
勝手に高市首相の名前を使ったこと、無登録でトークンを販売したことも法に触れる可能性がありますが、問題点は他にもあるようです。
ラグプルの可能性を否定できない
専門家が最もリスキーだと指摘するのは、運営が総供給量のうち65%を超えるトークンを保有している点だといいます。
通常、暗号資産プロジェクトは自身が発行するトークンを保有したとしてもせいぜい10~20%程度で、半数以上を保有しようとすれば「ラグプル(持ち逃げ)」の可能性が高いと判断されるでしょう。
これは自社保有トークンを大量に売却して意図的に価格を暴落させ、運営が利益を得た後でプロジェクトを終了(または事実上の破綻)させる詐欺行為です。
65%という高すぎる保有比率は、「運営がいつでも逃げ切れるようにしているためだ」と疑われても仕方ありません。
創業者である溝口氏はメディア露出も多いインフルエンサーであり、詐欺行為で警察や投資家に追われる身になることはデメリットでしかありませんが、彼が道を誤る可能性も0ではないのです。
流動性ロックの設定がない
サナエトークンには健全なプロジェクトでは基本的な機能とされる「流動性ロック」の仕組みがなく、こちらも運営が自由に売却するための策ではないかと指摘されています。
流動性ロックとは分散型取引所(DEX)に預けた資金が一定期間引き出せないようにする仕組みで、通常は1~2年のロック期間が設けられることが多いです。
これは架空のプロジェクトによる詐欺を防ぎ、トークンを発行する側としては「私たちは誠実にプロジェクトを運営しています」という宣言の意味もあります。
取り扱いがDEXのみ
サナエトークンは、Raydiumなど分散型取引所(DEX)でしか取り扱われていません。
DEXは金融庁の登録を受けていない取引所であり、ここで取引される暗号資産は投資家保護制度の対象外です。
取引所の破綻やハッキング被害が起きた場合も何ら補償はなく、全てが投資家の自己責任となります。
金融庁の認可を受けた取引所のどこにも上場されていないということは、サナエトークンにそれだけの資格がないともいえるでしょう。
現職の、それも首相の肖像権を無許可かつ商業目的で利用するなんて、子どもでもダメだと分かりそうですが…(^_^;)
名誉毀損や不正競争防止法違反、金融商品取引法においては虚偽表示や誇大広告にあたる可能性もあります。
昨今「言ったもん勝ち」「始めたもん勝ち」と豪語するインフルエンサーも増えていますが、ルールを守った上でプロジェクトを進めてもらいたいものです。

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