2月12日、トランプ大統領はアメリカ商品先物取引委員会(CFTC)の委員長に、ブライアン・クインテンツ氏を指名する方向で調整しているとの報道がありました。
クインテンツ氏はCFTCの元委員であると同時に、大手ベンチャーキャピタル企業の暗号資産部門においてグローバルポリシー責任者を務めている人物です。
彼がCFTC委員長になることで、アメリカや世界の暗号資産市場はどう動いていくのでしょうか。
今回は、ブライアン・クインテンツ氏の人物像や経歴、暗号資産に対する考え方と暗号資産への影響について調べてみました。
商品先物取引委員会(CFTC)とは
「商品先物取引委員会(CFTC)」は主に市場の健全性を確保することを目的として活動し、不正の防止や摘発、市場参加者の保護に努めているアメリカの先物市場監督機関です。
対象となる取引は、商品取引所に上場されている商品や金利、デリバティブ(為替や株式などの金融商品)など多岐にわたります。
1974年に設立され、国内のオプション・先物の取引所とその会員を監査する権限も有しています。
似たようなものに証券取引委員会(SEC)がありますが、こちらは株式や債券などの証券取引に関する監督・監視を行う政府機関です。
CFTCは仮想通貨を取り扱う業者に対する法的措置を行うこともあり、法令や規則に違反すれば処分を下す権限も持っています。
ただし、現在のCFTCは暗号資産に対して「SECよりは寛大」だといわれているそうです。
トランプ大統領就任とともにSECの委員長が暗号資産穏健派に変わりましたが、CFTCでも同様の人事異動がみられることはほぼ確実だといえるでしょう。
CFTC新委員長候補ブライアン・クインテンツ氏とは
トランプ大統領は、カリフォルニア州にあるベンチャーキャピタル企業、Andreessen Horowitz(a16z)の暗号資産部門責任者を務めるブライアン・クインテンツ氏をCFTCの新委員長に指名することを予定しています。
クインテンツ氏は第1次トランプ政権下の2016~2020年にCFTC委員を務め、SECを批判した過去もあります。
2023年10月にはSECがイーサリアム先物ETFを承認していますが、この時点で証券ではないことを認めていたはずだと指摘し、ゲンスラー委員長をはじめとするSECのイーサリアムへの対応について苦言を呈しました。
a16zは自社の社員であるクインテンツ氏のCFTC委員長起用について、「暗号資産規制が見直され、より柔軟なテストが可能になると期待できる」としています。
暗号資産歓迎派の一人がまたアメリカの金融監視当局に加わることが決まり、クリプト民にとっては喜ばしいニュースが続いているでしょう。
ブライアン・クインテンツ氏ってどんな人?
ノースカロライナ州のデューク大学で公共政策の学位を取得、ジョージ・ワシントン大学でMBAを取得したクインテンツ氏は、2001年に下院議員デボラ・プライス氏のもとアシスタントスタッフとして働き始めます。
2013年に投資会社を設立し、その3年後には当時のオバマ大統領からCFTC委員に指名されました。
2017年にトランプ大統領が就任するとクインテンツ氏を一時辞任させますが、2020年の任期満了まで務めるよう再指名します。
CFTC退任後は2022年12月にa16zへ入社し、暗号資産を取り扱うグローバル政策責任者を務めることになりました。

暗号資産規制はCFTCの手に委ねられる
バイデン政権においては、SECが暗号資産規制の主導権を握っていました。
SECが必要だと言えば暗号資産取引の規制は引き締められ、NOと言えば暗号資産ETFは否認される時代が長らく続いていたのです。
トランプ大統領は、SEC委員長を暗号資産歓迎派に交代させるだけでなく、CFTC委員長も自分の政策にとって都合の良い人物に任命することでビットコイン大国への道筋を深く刻み込もうとしているのでしょう。
さらに暗号資産に関する規制においては、SECではなくCFTCが主要機関となるべきだと主張しているようです。
「イーサリアムは証券ではない」というSECの見解をベースに考えるなら、商品先物取引を監督するCFTCこそが主軸となって規制の制定や監視・処分などの対応業務を行うべきというのも納得ですね。
新たな委員長を迎え、クリプト市場の監督においてさらに強い権限を与えられるCFTCは、暗号資産の未来を変えるほどの力を持つことになるでしょう。
CFTCの人事異動でどう変わる?
バイデン前大統領がCFTC委員長に任命した、ロスティン・ベーナム氏。
暗号資産詐欺に関する対策を強化し、詐欺摘発を進めてきた人物です。
BinanceやFTXに対する法的執行を主導、暗号資産における規制はまだまだ足りないと指摘してきました。
これらの実績は彼が暗号資産慎重派であることを示しており、ゲンスラー委員長と同じような立場をとっていたと考えられます。
一方で、ベーナム氏は多くのデジタルトークンが商品としての条件を備えているとし、暗号資産における規制の見直しも求めていました。
また、CFTCの監督対象拡大よりも、規制方針の明確化こそが必要だと主張しています。
自身が退任させられることが決まった後も、後任には暗号資産規制について「許すもの」と「許さざるもの」を定義するよう提案しているといいます。
アメリカ金融当局に大変革が起きている
ロスティン・ベーナム氏の代わりに暫定的な委員長に就任したのはキャロライン・ファム氏で、前委員長の部下であった多くの幹部をクビにしたといいます。
暗号資産分野の金融イノベーションを推し進めた実績のあるブライアン・クインテンツ氏がCFTC委員長に、暗号資産に関する規制の緩和を提唱してきたポール・アトキンス氏がSEC委員長になることで、アメリカの金融システムに暗号資産を受け入れる流れが一気に進むと考えられるでしょう。
もはや経済・金融分野において暗号資産を否定的に捉える監督者・責任者は存在せず、どの規制当局からも歓迎される未来はすぐそこまできています。
トランプ大統領の暗号資産政策は上手くいく?
トランプ政権下において、暗号資産が法定通貨に匹敵する金融資産になることはほぼ確実です。
しかし、そういう時に限って何か事件が起こるもの…
大手取引所から多額の資金が流出し、送金システムやセキュリティにバグや隙が見つかれば、暗号資産業界全体に大きな影響が出る可能性もあります。
安全性が問題視されるような事件・事故が起こってしまったら、ビットコインを準備金にする計画も破綻してしまうでしょう。
SECやCFTC、その他の規制当局のリーダーをトランプ政権にとって都合の良い人物に総入れ替えしたとしても、すべてが上手くいくとは限りません。
むしろ反対派をある程度残しておくことで、有意義な議論が重ねられ、より安全性の高い規制ルールが構築されるのではないでしょうか。
自分にとって厳しい相手、困難をもたらす相手こそ、成長につなげてくれるものですよね。
トランプ大統領は仲間や支持者を集めるのがお好きなようですが、イエスマンだけでは彼の暴走を止められません。
日本に住む私には直接関係のないことかもしれないけど、こちらの政府はどうしてもアメリカに影響されやすい体質を持っているので…
トランプ政権の結果によっては、日本でさらに厳しい規制が設けられる可能性もあります。
税率が低くなるどころか、暗号資産取引が禁止されたらどうしよう…とちょっと心配です(^_^;)
CFTC委員長までもが暗号資産穏健派に変わったことで、アメリカではますます暗号資産政策が進められていくでしょう。
ただし、トランプ大統領の計画通りにいくかは、すでにスタートしている法令・規制の結果次第だと思います。
不都合が生じれば、一気に形勢逆転となる可能性が高いです。
しばらくは日本からも注意して見ていく必要がありそうですね…!


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