日本で初の国産ステーブルコインが話題になっている一方、米ドルに裏付けされた「テザー(USDT)」にネガティブなニュースが出てきてしまいました。
S&Pがステーブルコイン最大手ともいわれるUSDTに対し、最低ランクの「5」をつけたというのです。
有識者のみなさんは「なんてことだ!」と動揺しているかもしれませんが、私は正直何のことやらさっぱり(笑)
今回はS&Pとは何か、USDTに何が起こっているのかを学んでいこうと思います。
S&Pとは
投資の世界において、「S&P」はよく出てくるワードです。
NISAで投資信託を始めた人のなかには、「S&P100」を選択している方も多いでしょう。
私の周りにもいますが、どうしてそれにしたの?と聞くと「何だかよく分からないけど先輩がこれにしなって言ってたから」だそうです(^_^;)
S&Pとはアメリカに拠点を置く「S&Pグローバル・レーティングズ」のことで、その規模は世界最大級といわれています。
1,500人以上のアナリストたちによる調査や審査により、世界150か国以上の債券を評価する格付け機関です。
そもそも「格付け」とは、金融分野においては第三者が国や企業の財政や経営の状態から評価することを意味します。
S&Pは企業が発行する株式が市場平均を上回るか、それとも下回るかを予想し、その見解をランク別に示しているのです。
S&P100とは、ニューヨーク証券取引所またはNASDAQに上場されている株式のうち優良企業と評価された500銘柄のなかから、さらに時価総額ランキング上位100位以内の銘柄のことを指します。
つまり、NISAでS&P100を選択している人は、アメリカの株式のなかでも特に上位ランク100位までの銘柄に投資しているというわけですね。
ここまで理解すると、冒頭でお話しした「S&PがUSDTを最低ランクにした」というニュースの意味がなんとなく分かってくるのではないでしょうか。
S&Pの格付け方法について
S&Pは、長期債務ではアルファベットによって、短期債務ではアルファベットと記号の組み合わせによって株式や債券の信用格付けを示しています。
例えば長期の場合は次のような表記になります。
「AAA」(最高ランク)…債務履行能力が極めて高い
「AA」…金融債務を履行する能力が非常に高い
「A」…金融債務を履行する能力が高いが、経済状況の変化により影響を受ける可能性がある
「CCC」…債務不履行となる可能性が高い
「CC」…債務不履行となる可能性が非常に高い
「C」…債務不履行が起こっている
「D/SD」(最低ランク)…債務不履行中または類似の状況にある
この格付けを知っておくと、ランクを見ただけでその企業がどんな状況にあるのか把握することが可能です。
株式投資をお考えの方は、S&Pの評価も参考にしてみてはいかがでしょうか。

USDTの「5」とはどういう意味?
今回USDTは「5」のランクがつけられたということですが、アルファベットでも記号でもない数字の評価には、どのような意味があるのでしょうか。
さらに詳しく調べてみると、S&Pは債券に対する評価とは別に、ステーブルコインを評価するための新しいシステムを導入したようです。
これは「Stablecoin Stability Assessmentt(ステーブルコイン安定性評価)」と呼ばれるもので、ステーブルコインの信用度つまり「法定通貨と連動した安定的な価値を維持する能力」を評価します。
1~5までの5段階で示され、次のような評価を意味します。
「1」(最高ランク)…法定通貨と連動した安定的な価値を維持する能力が非常に強い
「2」…法定通貨と連動した安定的な価値を維持する能力が強い
「3」…リスクは存在するが、比較的安定している
「4」…制約あり(特定の状況下では安定性が保証されない可能性がある)
「5」…法定通貨と連動した安定的な価値を維持する能力が弱い
USDTは米ドルに連動するよう設計されていますが、価格の安定性に懸念があると評価されたことで最低ランクの「5」をつけられてしまったというわけですね。
USDTのリスクとは?
S&Pが示したUSDTへの評価は、発行主体であるテザー社の準備金に高リスク資産の割合が増えすぎていることが原因だとされています。
S&Pの報告書によれば、2025年9月までに準備金の24%がBTCや金、担保付ローン、社債などのリスクの高い資産となっており、前期から7ポイント増加しているそうです。
特にBTCの保有比率が高く、流通するUSDTの約5.6%にあたる金額がBTCによって担保されている計算になります。
BTCが上昇し続ければ心配はいりませんが、今後の変動によってはUSDTの担保が不足する可能性があるでしょう。
最近のBTCは調子が悪いので、今回の評価も当然のことだといえます。
しかしテザー社はこれに反論、S&Pの評価基準はそもそもデジタル資産に適していないと主張しているようです。
S&Pは株式や債券に対する評価において長い歴史を持つ格付け機関です。
しかし、近年新たに誕生したステーブルコインを正しく評価できるだけの見識や分析力が備わっているとは限らない…と批判的な意見もあります。
格付けを行うアナリストのなかには、暗号資産を歓迎していない人もいるでしょう。
S&Pの評価を一つの材料ととらえ、他の評価基準や有識者の見解も参考にしながら、慎重な投資判断が求められています。


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