近年、さまざまな分野で仮想通貨事業に乗り出す企業が増えています。
従来の金融システムを支えている銀行などの金融機関も、時代の変化に対応しなければ生き残ることはできないでしょう。
2025年9月にはゆうちょ銀行が「トークン化預金」の構想を発表し、ついに日本の金融機関が仮想通貨事業に乗り出したと話題になりました。
そして11月、トークン化預金の実証実験がスタートします。
今回はゆうちょ銀行のトークン化預金とはどんな取り組みなのか、今後のサービス展開についても調べてみました。
トークン化預金とは
ゆうちょ銀行は、デジタル通貨事業を行う株式会社ディーカレットDCP、ライフスタイルサービスを提供する株式会社シノケングループと協同してゆうちょ銀行の「トークン化預金」事業を立ち上げました。
トークン化預金とは、簡単に言えば「預金をトークン化したもの」です。
ゆうちょ銀行に預けられている顧客の預金をブロックチェーンに記録することで、デジタル上で自由に取引できるお金になります。
自動支払いや特定の取引に連動した入出金など、新たな機能の付与も計画されているようです。
ゆうちょ銀行や協同企業は、トークン化された預金の活用が顧客の暮らしをより便利にすると考えています。
ゆうちょ預金をトークン化するメリットは?
トークン化された預金は、「オンライン口座やインターネットバンキングと同じではないか」と考える人も多いでしょう。
しかし単なるオンライン取引とトークン化された預金での入出金では、異なる点があります。
オンライン口座では銀行のシステムに取引履歴が記録されますが、トークン化された預金はブロックチェーンに取引履歴が記録されるのです。
前者は中央集権型の記録方法、後者は分散型の新しい記録方法といえますね。
水道光熱費や保険料の支払いについても考えてみましょう。
自動引き落としの設定をしている人も多いですが、料金を徴収する事業者によって引き落とし日が決められています。
水道料金は10日、電気料金は20日、保険料は月末など、引き落としスケジュールを把握してやりくりするのって大変ですよね。
思わぬタイミングで大きな金額が引き落としされてしまい、再振替のない支払いに限って残高不足となり、個別で振り込みをしなければならないケースも…
トークン化された預金では即時決済が可能なため、顧客の都合に合わせていつでも好きな時に各種支払いを済ませることが可能です。
サービスによって設定できる日にちや曜日、支払期日などの条件が設けられる可能性がありますが、その範囲内なら自由に支払いスケジュールを決められます。
これがトークン化された預金の、実用性におけるメリットとなるでしょう。

シノケンコインとの連携
ゆうちょ銀行のトークン化預金は、協業する株式会社シノケングループの独自ポイント「シノケンコイン」との連携が計画されています。
シノケンコインとはシノケングループの住まい提供サービスの利用に応じて還元されるトークンで、ブロックチェーン上の仮想通貨になる予定だとか。
現在はまだ開発中であり、トークン化預金と連動した機能の設計を目指しています。
シノケングループはデジタルでの銀行口座連携によるスムーズな契約や決済、入居期間や新たな入居者の紹介に対するインセンティブを用意するなど、賃貸物件の入居者に向けたサービスを検討しているようです。
トークン化預金はシノケンコインを受け取ったり支払ったりするためにも使われ、スマートコントラクトによる収納代行など、従来の金融機関とブロックチェーン上の預金をつなぐ次世代金融インフラになると考えられています。
トークン化された預金は不動産事業を展開するため?
さらに詳しく調べてみると、トークン化預金の真の目的は顧客の利便性とは別のところにあることが分かってきました。
預金の移動や支払いがスムーズになる、自由化するという名目でユーザーを集めつつ、最終的にはweb3.0を活用した賃貸契約と投資のサービスを提供したいと考えているようです。
つまり、ゆうちょ預金のトークン化はシノケングループの不動産における決済事業参入の足掛かりとして計画されたものなのでしょう。
シノケングループが公開したトークン化預金の事業構想を読み込めば、物件の貸借や不動産投資に関わりのある人だけがターゲットになっていると気付くはずです。
ゆうちょ口座を生活資金の入出金や貯金として活用している顧客の場合は、トークン化することに対して特にメリットが感じられないかもしれません。
先ほど「引き落とし日を自由に設定できる」と説明しましたが、シノケングループがそのように言っているだけで、どれほどの事業者がこれに対応できるか不明です。
トークン化された預金をもってしても、「うちの引き落とし日は月末ですので」と言われたらその通りにするしかないのです(^_^;)
トークン化された預金はゆうちょ銀行の口座をブロックチェーン上で取り扱えるようになるというだけで、各種支払いや資産運用の方法を革新的にバージョンアップさせるものではないようです。
シノケングループでは自社が管理する賃貸物件の月次支払いをユースケースとし、2025年12月末までにトークン化預金を活用した決済の実用性を検証するとしています。
私はどうも、この事業が新たな金融インフラの誕生にはつながらない気がしますが…(^_^;)


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