現在はweb3.0時代の黎明期にあたり、さまざまな業界でブロックチェーンを活用した新たなビジネスが生まれています。
アート・不動産・骨董品・限定商品などの現実資産の所有権をNFT化し、個人間の取引や投資を可能にしたRWA(リアルワールドアセット)もブロックチェーンによって開発された新たな仕組みです。
ただ、すべての既存システムがweb3.0に移行できるわけではありません。
web3.0による技術革新が進む一方で、分散型インターネットの仕組みにマッチせず既存のやり方に戻す業界も増えています。
今回は、web3.0と従来のシステムを融合させたRWAの取り組みについてご紹介しましょう。
直接取引が不要?これまでのweb3.0ビジネスとは違う新プロジェクト
東急不動産と東急リゾーツ&ステイは、全国32施設に展開する東急ステイホテルにてブロックチェーン技術を活用した「東急ステイ公式宿泊権リセールサービス」の提供を開始しました。
ホテルの宿泊権をNFT化し、保有者の証明や取引履歴をブロックチェーンによって管理するプロジェクトです。
基本的に宿泊権は返金不可となっていますが、NFTとして管理することで改ざんや不正取引を防ぎながら公式的な二次流通を実現しています。
購入した宿泊権はユーザーのウォレットに保管され、プラットフォーム上で出品や譲渡が可能です。
wb3.0の仕組みでは出品者と購入者が直接取引することが基本となりますが、このサービスではプラットフォームを介して取引させることで不正利用や転売トラブルを排除できるとしています。
web3.0のメリット
web3.0とは、これまでサービスの提供者が管理していたユーザーの個人情報や資産がユーザー本人のもとで自己管理できるようになり、個人間での直接取引が可能になった「分散型インターネット」のことをいいます。
例えばweb2.0以前のシステムでは銀行が顧客の預貯金を管理し、送金や振込・口座引き落としなどの支払いも金融機関を通す必要がありました。
個人間で直接金銭を授受するには現金化するしかなく、キャッシュレスで多額の資金をやり取りする商取引では送金手数料や振込手数料が大きなコストとなっています。
ブロックチェーンによって構築された仮想通貨をさまざまな取引に活用すれば、銀行を介さない直接的な金銭の授受が実現するでしょう。
取引にかかる手数料を削減できるだけでなく、第三者である銀行に取引内容を把握されたり、取引の方法(相手方・期日など)を制限されたりすることもなくなります。

web3.0のデメリット
単にホテルの宿泊券をNFT化して「さあ自由に取引してください」と言われても、どうしたら良いか分からないユーザーも多いでしょう。
あらゆる商品が集まるNFTマーケットプレイスでは適正価格が掴みにくく、取引が成立してしまえば中止もできません。
web3.0のメリットであるユーザー間の直接取引が可能なこと、ユーザーが資産を自己管理できることは、取引や資産運用の安全性を低下させる要因にもなりえるのです。
OpenSeaなどの大手NFTマーケットプレイスでも、取引においてたびたびトラブルが発生しています。
売るつもりでなかったNFTを誤って出品してしまったり、価格を間違えて売却・購入してしまったり、初心者の過失によって大きな資産を失ってしまうことも少なくありません。
詐欺やハッキング、不正取引の被害に遭う可能性も高いですが、現在のweb3.0システムではこれを防止する対策や損失を補填する仕組みが不十分です。
ユーザー本人のミスも盗難もすべてが自己責任となってしまい、それなら従来の金融・商取引システムの方が安心だと考える人もいるでしょう。
公式宿泊権リセールプロジェクトはweb3.0への処方箋となるのか
東急不動産と東急リゾーツ&ステイの新プロジェクトは、ブロックチェーンの利点を活用しながらweb3.0のリスクを抑える画期的な取り組みだと思います。
宿泊権はNFT化されて取引されますが、東急ステイホテルの公式プラットフォームを使うことで日本円対応クレジットカードの利用が可能です。
チェックインの際はQRコードをかざすだけで、これまでの宿泊システムと変わりません。
NFT関連プロジェクトの多くは、いちいちウォレットを提示させたがりますよね(^_^;)
私は常日頃web3.0プロジェクトの利便性について疑問を持っていたのですが、NFTによるサービスを利用するだけで手間がかかりすぎじゃないかって。
特定のNFTを持っていると飲食代10%割引は嬉しいけど、それだけのためにメタマスク見せろってちょっと怖くないですか?
むやみにウォレットなんて開くもんじゃないし、パスワード入力の際に店員や他の客が盗み見たり、スキミングされたりする可能性もありますよね。
ブロックチェーンを介した取引以外、ウォレットに接続する必要はないはずです。
公式宿泊権リセールサービスの場合は、あくまでユーザーには見えないところのインフラとしてブロックチェーンを機能させています。
このプロジェクトのように、ユーザーの資産を安全に保管しつつ、NFT取引・利用の利便性も損なわないシステムが構築されれば、web3.0はもっと身近なものになるでしょう。
web3.0を歓迎しているのは、銀行などの第三者に取引を制限されたり手数料を支払ったりすることで、これまで損をしてきた人たちなのかもしれません。
「銀行に預けていれば安心」と資産管理を信頼できる金融機関に任せていた人は、むしろweb3.0が危険なものに感じられるでしょう。
すべてのシステムがweb3.0化するべきなのではなく、私たちが必要な技術を選び取っていくことが大切です。

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