整理しておこう!メタバースとデジタルツイン・ミラーワールドの違い

メタバース メタバース

web3.0の世界では、現実的なものと仮想のものが混在するようになると考えられています。
リアルな世界では成し遂げられないことが、仮想空間なら可能になるかもしれません。
例えば、時間やお金がなくて旅行に行けない人も、メタバースなら好きな時に好きな場所へ出かけることができるのです。
しかし、最近はこの「メタバース」の定義が広義的になっているようで、専門家や企業によっては
「これはメタバースの一種だ」
「いやこれはメタバースではない」
と論争になる場合もあるようです。
今回はメタバースって結局何なのか、似た言葉には何があるのか調べてみることにしました。

仮想空間メタバースとは?

インターネット上に構築された仮想空間のことを「メタバース」といいます。
例えば、オンラインゲームの中の世界、アバターを使って交流するネット空間上のコミュニティなどを想像してもらうと分かりやすいでしょう。
現実世界の空間でもなければ、文字や画像を投稿したりメッセージを送り合ったりするようなSNS・ネット掲示板でもありません。
私たち人間の分身をアバターとして出現させ、マウスやキーボードを操作してそのアバターを意のままに行動させているのがメタバースです。
生身の人間はネット上に入れませんが、映像を通してまるでそこにいるかのような感覚を味わうことができます。
移動すればアバターが見ている景色が変わり、アバター同士でリアクションを取り合ったり会話をしたりするのも可能です。
まだ全てのメタバース空間がリアルな世界と同じようになったとは言えませんが、映像技術の進化などにより、限りなく現実に近い視覚情報が得られるようなプラットフォームもあります。
メタバースで開催されるweb3.0系イベントや、現実世界に店舗を構える企業がメタバース内に出店したという事例も増えてきました。
今後はリアルな世界と同じ感覚で、企業の会議や政府の会合などが行われるようになるかもしれません。

VRがないとメタバースじゃない?

メタバース専門家のなかには、「VR」を使っていなければメタバースでないと考える人もいます。
VRとは、専用ゴーグルなどを装着して目の前に仮想空間が広がっているかのように錯覚できる技術のことです。
VRも「仮想現実」と訳されるため、メタバースには必要不可欠な技術であるという意見もあります。
専用ゴーグルを使うと現実世界の視界を覆い、仮想現実の世界を見ることが可能です。
最初にこの技術が登場した時は、目の前に現実にはない映像を映し出すだけでした。
ホログラムのようなもので、私たちは触れられそうで触れられない不思議な映像に驚かされたのです。
しかし今は、その仮想現実の中を移動したり、手ではなくVR機器を使って仮想現実の中にある物を移動させたりすることができるようになりました。
さらにVRゴーグルを使用せずに仮想現実を楽しめる、新しい技術も開発中です。
VRの進化は、よりリアルなメタバースを構築するためのステップだと言えるでしょう。

どうして人類はメタバースを欲するのか

ゲーム端末機でプレイするRPGやキャラクター育成ゲームも、メタバースといえばメタバースです。
でも、プレイする人間自体がゲームの中にいると錯覚するには物足りないですよね。
想像力を働かせれば、ゲームの中でキャラクターと会話したり目の前にいるモンスターを愛でたりすることができるかもしれません。
しかし、もっと現実に近い感覚で、ゲームの中に自分が存在しているかのような没入感がほしい・・・。
そこで生まれたのがメタバースです。
現実世界にある自分の部屋や「そろそろゲームやめなさい!」と叱るお母さんを見えなくして、ゲームの中の世界だけを見たい!
そのためにVRゴーグルを装着し、ヘッドフォンをつけて視覚や聴覚をコントロールするわけですね。
実際に異種族がバトルする中にいたらケガをしてしまうし、世界中どこを探しても火を噴き空を飛べるドラゴンがいないから、仮想現実の中に思うままの世界を創造するのだと思います。
メタバースなら生身の自分の体を傷つけることなく、危険なダンジョンに出かけられるでしょう。
現実世界にはいないような絶世の美女と恋人になる夢だって叶います。
(それを操作している人間がどんな姿をしているかは分かりませんが・・・。)
それはマンガやアニメでも体感できますが、ドキドキ・ハラハラするスリル感はメタバースには敵わないでしょう。
メタバースは、人間の飽くなき欲望を満たしてくれるもう一つの世界なのです。

デジタルツインとの違いは?

メタバースに似たような仮想現実に、「デジタルツイン」というものがあります。
これは現実世界をコンピューターの中に再現したものです。
製造業の生産ラインや都市計画などの分野に活用されており、新たな産業革命になると期待されています。
例えば、現実世界の工場から製造工程のデータをリアルタイムで取得し、仮想空間にある工場に同じ工程をシミュレーションさせます。
その分析結果を現実世界の工場にフィードバックすることで、より良い生産の仕方を模索しようという技術です。
一般的なシミュレーションでは、ある時点でのデータに基づいて分析が行われています。
分析結果をフィードバックした時に、「モデルのデータ自体が古いのであてにならない」ということもあり得るのです。
デジタルツイン技術を使えば、常に最新のデータから分析が行われるため、より効果的な戦略を立てられるでしょう。
メタバースとデジタルツインは似たような技術ですが、メタバースの方がより現実離れした空間だと考えられます。
デジタルツインは、実際に稼働している工場や現実世界の人間が住む都市などをモデルに構築されていますが、メタバースはそこに存在するモノ・ヒトが現実世界には存在していない場合もあるというのが両者の違いです。

ミラーワールドとの違いは?

メタバースに似た言葉として、「ミラーワールド」というものもあります。
これは鏡のような世界という意味で、現実世界のすべてが1:1で再現されたデジタル世界のことです。
デジタルツインとも似ていますが、現実世界で起こっていることを仮想世界にリアルタイムで連動させています。
メーカーが製品を開発したり、建築・航空部門の設計を行ったりする時に用いられる技術です。
津波や地震などの自然災害シミュレーションにも効果を発揮しています。
また、シンガポールでは、一国を丸ごとミラーワールドに創造するという世界初の取り組みを行いました。
交通情報や道路工事の状況をデータ化することにより、渋滞緩和に役立てたそうです。
事故や自然災害が発生した時のスムーズな鉄道乗り換え案内や避難経路の確保など、防災面でもかなり便利になるでしょう。
日本は地震や台風などの災害が多く、小さな国土にたくさんの建物が建っています。
万が一の時に、どうやって逃げれば良いか、数十年前に作成した防災地図では役立たないかもしれません。
リアルタイムの情報を入手でき、すぐに避難経路を導き出すことができれば、もっと多くの人を救えるのではないでしょうか。
メタバースは現実とリンクしないことも多いですが、ミラーワールドは現実と全く一緒の状況を作ることで、よりリアルなデータを収集できるのです。

 

メタバースに似た言葉として、デジタルツインとミラーワールドというものがあると知りました。
しかしこの2つは、仮想世界を「楽しむ」というよりも「現実世界に役立てるため」に存在しています。
リアルさで言うと、デジタルツイン・ミラーワールドの方が現実的です。
よりエンタメ性が強いのは、やはりメタバースでしたね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました