暗号資産投資を始める人も増えてきましたが、心配なのは税金面だと思います。
今は暗号資産に関係する法整備が十分ではなく、税金の考え方もケースバイケースになる可能性もあるとか。
初心者がいきなり大きく稼げてしまうこともあり、「そういえば税金ってどうなるの!?」と急に不安になる人もいるでしょう。
今回は、暗号資産で稼いだらどんな税金がかかるかまとめてみましょう。
暗号資産取引で税金がかかるのはどんな時?
暗号資産を取引すると、税金が課せられる場合があります。
大きく分けて3つのパターンが想定されるので、一つずつ見ていきましょう。
1.暗号資産を売った時
保有している暗号資産を売って、利益が出たら税金の対象となります。
金額についてはあとで解説しますが、ある程度の利益を得られたら税金がかかると覚えておきましょう。
2.保有している暗号資産を別の暗号資産と交換した時
ビットコインをイーサリアムに換えるなど、暗号資産のスワップを行なうと利益が出る場合があります。
暗号資産はそれぞれのレートが違うため、交換でも売買のように損益が発生します。
3.暗号資産を使って決済をした時
商品やサービスの支払いに、暗号資産を使用した場合も税金がかかる可能性があります。
現金払いの場合は利益になるわけではないので消費税くらいしかかかりませんが、暗号資産で支払うと利益が発生するかもしれません。
なぜかというと、暗号資産での支払いは一度現金に換えて支払ったという考え方をするからです。
つまり、ビットコインで商品を買う時には、一度ビットコインを売って現金を手に入れたことになります。
このビットコインが入手した時よりも価格が上がっていると「利益が出た」とみなされるため、課税対象となるのです。
いくら儲けたら税金がかかるの?
暗号資産の場合でも、通常の所得税と同じルールが課せられています。
一般的なサラリーマンの場合は一年間の給与以外の所得が20万円を超えた場合のみ、所得税の課税対象となります。
つまり20万円以下の利益であれば、税金の支払いも申告の必要もないということ。
扶養に入っている人は、33万円以上の場合に確定申告・納税をしなければなりません。
ただし他の雑所得と合算する必要があるので、株やFXなど他の所得がある人は注意してくださいね。
暗号資産の取引で得るのは「雑所得」
暗号資産の売買やスワップ、暗号資産を使った支払いで発生した利益は、所得の中でも「雑所得」に分類されます。
税金の計算には「総合課税」というルールが適用され、他の所得(給与所得など)との合計額によって税率が決定される仕組みです。
また、所得額が高ければ高いほど税率が上がる「累進課税」というルールも適用するため、多く稼ぐほど高額の税金を納めなければなりません。
最低でも5%、最高45%の税率がかかることも・・・。
頑張って稼いでもこんなに税金がかかってしまうなんて、投資家の悩みどころですね。
支払うのはどんな税金?
暗号資産取引にかかる税金は、所得税と住民税の2つです。
まず暗号資産取引で発生した利益と、他の所得を合わせて合計額を計算します。
合計所得の金額に応じた税率をかけたものが、所得税です。
さらに控除が適用される場合は、その金額を合計所得の金額から引いておきます。
控除後の所得金額に、10%をかけたものが住民税です。
暗号資産取引で利益が出ると、所得税と住民税で最大55%以上が税金として取られる場合もあります。
■どうやって所得を計算すれば良いの?
暗号資産取引で得た利益は、一年分の合計額をまとめて申告します。
暗号資産の売買や交換、暗号資産を使った支払いが発生したら、その都度所得額を計算して記録しておきましょう。
一年間の合計所得額を出すには、2つの方法のうちどちらかを選択しなければなりません。
・移動平均法
暗号資産の購入をする度に、これまで購入した暗号資産の残高から保有している暗号資産の平均額を算出する方法です。
ちょっとややこしいので、あとでちょっと練習しましょうね(^_^;)
・総平均法
まず一年間に購入した暗号資産の平均レートを算出し、保有した暗号資産の合計額を決めます。
さらに売却した時の合計額を計算し、その差額を所得とする方法です。
移動平均法と総平均法では、計算の結果算出される所得の金額が変わります。
一度選択すると、以降ずっと同じ計算方法で申告しなければならないのでよく考えて決めましょう。
計算してみよう!あなたはどれくらい稼いでいる?
それでは実際に、暗号資産取引で得た利益を計算してみましょう。
一年間にこんな取引があったと仮定します。
1/1 ビットコイン購入
0.1BTCを30万円で買った
2/10 ビットコイン購入
0.1BTCを35万円で買った
5/15 ビットコイン売却
0.1BTCを40万円で売った
10/30 ビットコイン購入
0.1BTCを48万円で買った
12/5 ビットコイン売却
0.2BTCを120万円で売った
◎移動平均法で所得を計算
取引の都度、ビットコインの保有平均額を算出していきます。
平均額が変わるのは購入の時だけで、売却の時は変動しません。
1/1 30万円
…0.1BTC保有
2/10 (30万円+35万円)÷0.2BTC=325万円(1/1と2/10の1BTCあたりの平均レート)
325×0.1=32.5万円(0.1BTCあたりの平均レート)
…0.2BTC保有
5/15 売り上げ 40万円-0.1BTCあたりの平均額32.5万円=7.5万円の利益が発生
…0.1BTC保有
10/30 (32.5万円+48万円)÷0.2BTC=402.5万円
402.5×0.1=40.25万円(0.1BTCあたりの平均レート)
…0.2BTC保有
12/5 売り上げ40.25万円×2=80.5万円(12/5に売却したBTCの取得価額)
60万円×2-80.5万円=39.5万円の利益が発生
…BTC保有なし
一年間の利益の合計は7.5万円+39.5万円=47万円(所得合計)
◎総平均法で所得を計算
一年間の暗号資産平均レートをもとに、所得の合計額を計算していく方法です。
売却合計額から購入した額を引いて所得額を算出します。
1/1~12/5に購入したBTC
(30万円+35万円+48万円)÷0.3BTC=376.7万円(購入時の1BTCあたりの平均レート)
0.1BTCあたり=37.6万円
376.7万円×0.3BTC=113.01万円(売却したBTCの取得価額合計)
1/1~12/5に売却したBTCの合計金額(合計0.3BTC)
40万円+120万円=160万円
売却額から購入額を引いて
160万円-113.01万円=46.99万円
一年間の利益の合計は46.99万円となります。
移動平均法よりも計算が簡単なので、実務上はこちらの方が一般的に使われているでしょう。
損益計算ソフトを使おう!
暗号資産取引の都度計算する移動平均法の方が、実態に即した結果になりやすいと思います。
ただし、計算が複雑で間違えやすいかも・・・。
計算が苦手な人は、損益計算を自動でやってくれるソフトに頼ってみてはいかがでしょうか。
国内・海外の多くの取引所に対応しているソフト、移動平均法でも総平均法でも計算できるソフトがあります。
取引の都度手計算しなくても、使用している取引所と同期させることで自動的に損益を算出してくれるでしょう。
確定申告は毎年のことなので、今後も暗号資産取引を考えている人は早めに用意しておくと良いですね。
確定申告ソフトも便利!
暗号資産取引には、売買にかかる損益のほか経費などの支払いも記録しておく必要があります。
経費と認められれば、所得額から引くことができるので税金対策につながるでしょう。
しかし、自分で細かく記録しておくのは結構大変・・・。
確定申告用のソフトを使えば、家計簿のように入力しておくだけで帳簿の形を作ってくれます。
それを使って確定申告の書類を作成することもでき、税金も自動計算が可能です。
自動生成された確定申告書は、郵送のほか電子申告もできますよ♪
自宅から一歩も出ることなく、確定申告が完了してしまうのでとても便利です。
ただしマイナンバーカードを読み取るための機械が必要なので、詳しくはそれぞれのソフトの仕様書などを確認してくださいね。
暗号資産取引は、いつの間にか大きな所得額になっていることもあります。
まだ始めたばかりの人も、早めに準備しておきましょう。
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